2012 Fiscal Year Annual Research Report
看護師と医療保険者の役割機能拡大による新たな慢性疾患ケア提供モデルの構築
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22249069
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森山 美知子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (80264977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 俊子 宮城大学, 看護学部, 教授 (60325933)
中島 直樹 九州大学, 大学病院, 准教授 (60325529)
岡 美智代 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (10312729)
木原 康樹 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (40214853)
横山 敬生 広島大学, 病院, 病院助教 (40508157)
鴨打 正浩 九州大学, 医学研究院, 教授 (80346783)
苅部 明彦 宮城大学, 看護学部, 教授 (80359504)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 慢性病看護学 / 疾病管理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、慢性疾患患者のケアの連続性を確保し、個人のもつリスク特性に応じた医療資源の適正配分の階層化ロジックをもって、エビデンスに基づいた有効なケアを提供する「慢性疾患ケア提供モデル」を構築し、これを展開することによって患者の重症化予防とQOLの向上を図るものである。 e-learningを用いた看護師教育の実施(1ヶ月間):平成23年度に作成したe-learningをさらに洗練し、登録して学習できるweb版の作成を行った。看護師はすでに20名が学習を終え、疾病管理ナースとしての実施準備は整った。 医療機関の外部に疾病管理センターを設置:広島大学の主任研究者の研究室にセンター機能を設置した。また、2010年12月に主任研究者を中心とした大学発ベンチャー(株)DPPヘルスパートナーズを設立し、外注型疾病管理センターを運営・経営している。2012年12月現在、約700人、8自治体(国保)、4健保組合、2協会けんぽでの疾病管理の展開を開始し、実質、研究終了期間前に実働することなり、本研究で実施しようとしたことが前倒しで実施可能となった。これらの医療保険者のレセプトや健診データを分析し、介入対象の抽出を行い、疾病管理パスを用いた介入を開始することが可能となった。 パスシステムの開発:平成23年度に開発したExcelを用いた疾病管理システムが不具合を起こしたことから、この修正に大幅な時間を要した。また、改善を繰り返した。パスシステムを用いた介入研究(実証実験):上記、試作が完成したことから、群馬県の2診療所、東北大学病院、荒木脳神経外科病院・広島大学病院・呉市(広島県)で疾病管理パスの運用を開始した。プロトコルを作成し、評価指標を設定し、倫理審査委員会を通し、虚血性心疾患、糖尿病性腎症、脳梗塞、心不全について、8症例ずつのパスの運用を開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度に業者に委託してIT化(Excel fileでの作成)した疾病管理パスが不具合を起こし、稼動できなくなったことから、この修正を再度業者に委託して、再構築を実施してもらった。これに10ヶ月程度の時間を費やし、また、そのために作成していたファイルを再入力する作業が発生し、膨大な労力が必要となった。 現在、ようやく修理したExcel fileのパスシステムが完成したことから、今後は研究が加速すると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
疾病管理ロジックITシステムの完成と本格実施:平成23年度に作成し、平成24年度に改修した疾病管理パスを用いて以下を実施する。看護師教育については、平成23年度に作成したe-learningのシステムを活用して、実施する。 ●各システムの基本展開:コールセンター機能を充実させる。介入対象者:保険者の健診とレセプトデータから、メタボリック症候群者、2型糖尿病、虚血性心疾患/ACS、脳梗塞後、糖尿病腎症(保存期)、慢性心不全患者を3拠点で100人程度選定する。脳卒中:荒木脳神経外科病院で、脳卒中患者に対して疾病管理パスを用いて再発予防を行う。慢性心不全:広島大学病院で、慢性心不全患者に対して疾病管理パスを用いて重症化予防を行う。ACS:東北大学病院で、心筋梗塞・狭心症患者に対して疾病管理パスを用いて再発予防を行う。糖尿病腎症:群馬県内の病院及び広島大学病院で、糖尿病腎症の患者に対して疾病管理パスを用いて重症化予防を行う。 ●保険者の機能強化(役割機能拡大)による新たな慢性疾患ケア提供モデルの構築:呉市(国保)、大崎上島町(国保)、企業健保において、レセプト、健診結果及び介護保険情報を用いて被保険者の健康状態を分析し、階層化を行う。分析結果に基づいて、介入ストラテジーを考える。各階層に対して、上記基本疾患のパスを用いると共に、それ以外の疾患等に対しても、疾病管理プログラムを展開する。特に、呉市では、糖尿病腎症に加え、CKDの被保険者全員に対して、面談及びコールセンター機能による疾病管理を行う。 ●プログラム展開:半年以内、●研究デザイン:比較対照試験(1群前後比較試験)、●評価指標の設定:各疾患特有の指標(HbA1c、脂質データ、BNP、腎機能等)、QOL、知識の量、自己効力感、不安度、行動の評価、入院回数、医療費等。
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Research Products
(19 results)