2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22251001
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
西山 要一 奈良大学, 文学部, 教授 (00090936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
魚島 純一 奈良大学, 文学部, 准教授 (10372228)
栗田 美由紀 奈良大学, 文学部, 講師 (00309527)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レバノン共和国 / ローマ時代 / 壁画地下墓 / 人文・自然科学の学際研究 / 保存修復 / 碑文 / パン神のマスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度である平成25年度も、レバノン共和国は中東の政変による難民流入などにより国内情勢が不安定になったために現地調査を断念し、レバノンおよび国内の研究協力者が奈良に集って研究会を開催し、研究経過の検証、研究の成果、今後の課題について発表と討論を行い、研究費を繰越した平成26年度にその成果を報告書に纏めた。 本研究の対象であるレバノン国ティール市近郊のブルジュ・アル・シャマリT.01遺跡のローマ時代地下墓の修復研究では、保存科学・保存修復学・考古学・美学美術・歴史学などの人文科学と形質人類学・年代測定学・大気環境学・微生物学・測量学などの自然科学との学際研究を展開し稀有な成果を見た。すなわちT.01-Ⅰの地下墓はモザイク床と壁面の碑文解読から西暦196/197年にリューシスのために築造されたこと、孔雀・魚・鳥・草花・肉・パン・オリーブ壺・ワイン壺・リューシスの肖像などの壁画の発見とそれらが1800年もの永い間ほぼ完全に守られてきた環境、壁画顔料や壁面漆喰の機器分析による材質と描写技法の解明、それぞれの絵画の示す亡き人への思い、漆喰モルタルや樹脂を使った壁画の保存修復の試行と技術の確立、人骨の炭素14年代測定による埋葬年代の推定、また地下墓に隣接する地上の掘込石棺墓からの260個のガラス玉・コイン・パン神のマスクの発見は当時の地方有力者の埋葬方法と儀礼の実相を明らかにするものである。さらにこれらの貴重な遺構と遺物を保存し次世代に継承する方法や技術、考え方を策定する試みも行った。 レバノンでは既に20世紀初頭よりフランス・イギリス・ドイツなどの学術調査隊によってフェニキア時代以来のすばらしい文化が明らかにされているが、本研究の学際的研究がレバノンの歴史研究に対する寄与は諸外国のそれらに匹敵するものと考えている。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(19 results)