2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22251014
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
小泉 康一 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (50266227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 弘次 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (00185795)
成田 弘成 桜花学園大学, 学芸学部, 教授 (40189212)
児玉 克哉 三重大学, 人文学部, 教授 (50225455)
墓田 桂 成蹊大学, 文学部, 准教授 (20407604)
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Keywords | 都市難民 / 難民庇護申請者 / 難民登録 / 難民の定住・同化 / 移動の自由 / コミュニティ・サービス / 国際情報交換 / 多国籍 |
Research Abstract |
国際人道援助を受けず、紛争国の隣国(多くは発展途上国)の都市に滞留する難民・国内避難民の数が増大している。アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国の現場を訪れて話しを聞くと、彼らの多くが、滞在中の都市で、嫌がらせ、搾取、逮捕の恐怖を絶えず持って生活している。自分の身を守るため、地方当局や国際社会から"身を隠して"ひっそりと暮らし、援助を殆ど受けていない。身分の登録をしないため、結果として、庇護国の保護もなく、差別され、住む所が不十分であり、雇用や社会サービス(保険医療、教育等)の利用が出来ない。特に女性の場合、都市での性的、物理的暴力は大きな懸念である。 難民・国内避難民がいる国々、特にウガンダ、ケニア等の東アフリカ諸国では、問題の根底に、「市民権」の問題がある。市民権に関し、多くのアフリカ諸国に、共通なことが一つある。各国々は、民族集団、宗教集団、弱者集団(女性、難民、国内避難民など)の違いで、市民権の入手・獲得に非常に多くの制限を課している。他の地域でも同様で、例えばタイでは、難民は移動を禁じられ、土地の利用も、職を見つけることも禁じられている。 1951年国連難民条約や数多くの国際人権条約が、難民への多くの権利、特に移動の自由、雇用を求める権利を認めるが、多くの場合、実施されていない。都市難民と都市への国内避難民に対しては、庇護国政府は、大半が応急的対応に集中する傾向があり、中・長期的視点からの方策に乏しい。2009年UNHCRは、NGO等からの政策見直し要請を受けて、難民コミュニティとの密接な連絡を骨子とする、新たな「都市難民政策」を打ち出したが、その成果が出るのはまだ先のことである。 長期にわたるこの問題の解決には、UNHCRのような人道機関だけでは限界があり、国連組織内外の広範囲な政治、安全保障、開発といった機関との密接な連絡と持続的な関与が必要となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者のほぼ全員が、最終報告書のドラフト作成に取り掛かっており、また外国人協力研究者の殆どが最終的な論文作成を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
過去2年実施した調査を継続する。その過程で同時に、これまでの調査をリビューし、問題点を洗い出す。補足的なフィールド調査を行い、抜け落ちていた課題・論点を補う。フィールドで得られた成果を更に検討し、最終的な報告書を作成する(英文図書を予定)。
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Research Products
(6 results)