Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤間 亮 立命館大学, 文学部, 教授 (70212412)
矢野 桂司 立命館大学, 文学部, 教授 (30210305)
西浦 敬信 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (70343275)
古川 耕平 立命館大学, 映像学部, 准教授 (90425025)
李 亮 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, ポストドクトラルフェロー (00609836)
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Research Abstract |
本研究の長期的な目標は,主に日本における無形文化財の身体動作の情報を,デジタル技術によって計測・保存し,継承するとともに,蓄積された多くの動作データを定量的に解析することによって,人間にとって舞踊や芸能とは何かについて解明しようとすることである. 今年度では,今までの研究経過と成果を基礎とし,次のような方向の研究へと発展させた.すなわち,モーションキャプチャを用いた舞踊における身体動作の記録・解析・表示の研究を,従来からの,1人の動作を対象としたものから複数人による舞踊・演劇・祭礼にまで広げ,複数演者,伴奏音楽演奏者,観客などの相互作用を身体動作の観点から比較し,それらの関連性,特に,いわゆる「ノリ」「もりあがり」などの現象を,動作の引き込み,間合いの取り方などの観点から解明する.動作解析,感性情報処理,仮想コラボレーションによる実験などの手法を用いる.また,複数人の動作による舞踊,演劇,祭礼に関して,完成度の高い高度なデジタル・アーカイブを構築する.具体的には,以下に挙げる課題を取り上げた. 1、動作の特徴抽出とこれに基づくモーションデータの類似検索の手法を開発した. 2、舞踊譜Labanotationを日本の伝統的な舞踊「能」の仕舞動作の記述とCG再現に応用する方法を開発し,専門家による評価を行った. 3、舞踊における「ノリ」の状況など対する観客の存在の影響についてモーションキャプチャを使って分析した. 4、能および日本舞踊における,熟達者と初心者の動作の違いを,モーションキャプチャを使って導出する手法について研究を行った. 5、京都祇園祭の山鉾巡行の様子について,参加する町衆の身体動作だけでなく,巡行を鑑賞する見物人も含めて,この行事を,「モノ」の展示だけでなく,VRによって「コト」の展示を行うデジタル博物館の一例として実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」にあげた(3)仮想ダンスコラボレーションシステムの実現が,担当大学院生の休学という事情により十分に行えなかった.また,(2)については,実験は完了しているが論文投稿について,準備中であるが,年度内に完了しなかった.以上より(2)と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に平成22年度開始時の研究目的と研究推進方策はそのまま堅持し,研究計画の大きな変更は行わない.Labanotationによる「能」の仕舞の記述と表現については,ほぼ目的を達成することができたので,今後は,データを増やすこと,また詳細な評価を行う.また,ロボットによる伝統舞踊の動作実現,祇園祭の「バーチャル山鉾巡行システム」について完成度を高め,また,次年度から実現を目指す「巡行時の振動体験システム」について注力していくことを考えている.舞踊動作の解析については,類似動作検索システムもほぼ目標を達成したので,今後は,観客が舞踊動作に与える影響,日本舞踊における技の解明などを重点的に行っていく.
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