2011 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸脱炭酸酵素の誘導型遺伝子欠損マウスを用いたGABA神経伝達機構の研究
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22300105
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柳川 右千夫 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90202366)
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Keywords | GABA / グルタミン酸脱炭酸酵素 / 誘導型欠損マウス / GAD65 / GAD67 |
Research Abstract |
GABAは、主要な抑制性伝達物質として覚醒、睡眠、概日リズムや学習、運動、感覚情報処理など脳の機能を構築する上で中心的役割を果たしている。GABAは、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD;GAD65とGAD67の2型存在)により合成される。本研究では、生体におけるGABA神経伝達機構およびGAD65分子とGAD67分子の役割を明らかにすることを目的とする。 GAD67完全型遺伝子欠損マウスは口蓋裂や呼吸不全を示し、出生日に死亡する。そこで、成体におけるGAD67の役割を明らかにするためテトラサイクリントランスアクチベーター(tTA)システムを利用したGAD67誘導型遺伝子欠損マウスの作製・解析を目指している。GAD67誘導型遺伝子欠損マウス作製には、GAD67遺伝子にtTA2をノックインしたマウス(GAD67-tTA2マウス)が必要である。作製したGAD67-tTA2マウスにおけるtTA2の発現を検討する目的で、GAD67-tTA2マウスをレポーターマウス(tetO-ChR2EYFPマウス)と交配し、産仔を得た。今後は、得られた産仔についてEYFPの発現を指標にtTA2の発現を検討する。 GAD67ヘテロ欠損マウスでは野生型マウスに比較して、胎仔における体重低下や血中コルチコステロン上昇が観察される。そこで、行動レベルにおけるGAD67分子の役割を明らかにする目的で、GAD67ヘテロ欠損マウスとコントロールの野生型マウスについて、行動実験を行った。その結果、GAD67ヘテロ欠損マウスでは、3チャンバー社会的相互作用試験により社会的新規性の嗜好に低下が観察された。一方、オープンフィールド試験における活動量や明暗テストにおける不安レベルでは両群で差がなかった。この結果は、GAD67ヘテロ欠損マウスでは自閉症様の行動異常がある可能性を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レポーターマウスを入手し、GAD67-tTA2マウスと交配し、産仔を得たので、GAD67-tTA2マウスを評価するための見通しが立った。また、GAD67ヘテロ欠損マウスが自閉症スペクトラム障害を研究する上で、モデル動物になる可能性を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
GAD67-tTA2マウスを利用したGAD67誘導型遺伝子欠損マウスの作製・解析を行う。また、GAD67ヘテロ欠損マウスについて、強制水泳試験などの行動解析を追加し、行動レベルにおけるGAD67分子の役割を明らかにする。一方、胎生期におけるGABAの役割を明らかにするために、GAD65/GAD67ダブル欠損マウスにおける遺伝子発現について検討する。
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