2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞成長・シナプス可塑性・行動学習におけるmTORキナーゼの役割
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22300106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
饗場 篤 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20271116)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 遺伝学 / シグナル伝達 / 神経科学 |
Research Abstract |
研究実施計画に従って、小脳および終脳において活性化型mTORを発現するトランスジェニック(Tg)マウスについて下記の実験を行った (1)小脳における活性化型mTOR Tgマウスの解析 プルキンエ細胞において活性化型mTORを発現するTgマウスを作製・解析を行った。このTgマウスは明らかな小脳失調は示さなかったものの、プルキンエ細胞の細胞体および樹状突起・スパインが著しく肥大していた。さらに、Tgマウスのプルキンエ細胞の電気生理学的解析を行ったところ、成熟マウスにおいても複数の登上線維による支配を受けていた。このことから、mTORの活性化はシナプス除去に異常をもたらすことが考えられた。また、Tgマウスは加齢とともにプルキンエ細胞の数が減少していることを明らかにした。mTORの活性化はオートファジーを抑制することから、Tgマウスにおいては細胞質封入体の蓄積による神経変性が引き起こされていることが考えられた。実際、以下に述べる終脳における活性化型mTOR Tgマウスにおいては、大脳皮質ニューロンにおけるユビキチン陽性の封入体の蓄積が観察された。 (2)終脳における活性化型mTOR Tgマウスの解析 大脳皮質および海馬の興奮性ニューロンにおいて活性化型mTORを発現するTgマウスを作製した結果、大脳皮質が肥厚し神経細胞のサイズが増大していた。また、大脳皮質の層構造も乱れていた。このマウスは成長遅滞を起こし、生後15日齢前後で死亡する。そこで、Tgマウスの行動を詳細に記録したところ、重篤なてんかんを頻繁に起こしていることが明らかとなった。自由行動下において大脳皮質の脳波を記録したところ、てんかん発作時に著しい脳波の乱れが観察された。ヒトにおける結節性硬化症においてもmTOR経路の活性化とてんかんの関連性が指摘されていることから、このマウスはヒト疾患のモデルマウスとして有用であると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)