2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300121
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森 望 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00130394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 恭司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00255423)
安田 邦彦 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50278446)
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Keywords | 神経 / 老化 / 寿命 / 微小管 / アセチル化 / 可塑性 / 蛋白凝集 |
Research Abstract |
本研究では生物の老化にともない脳神経系の活動的応答性、特に「神経可塑性」が低下する現燐とメカニズムを追究する目的で、神経の構造可塑性の制御に関係深い神経骨格、すなわちアクチンとチューブリンの制御に関わるShc系のホスホチロシンシグナル分子とSCG10系の微小管制御因子の発現と機能性について研究を進めた。 まず、Shc系分子については、長寿命遺伝子といわれるp66-Shcの発現を脳と肝臓の老化過程での発現を比較検討した。その結果、老化脳ではp66-Shcの発現が有意に上昇していることを見出した。ShcB,ShcCの発現変動は特になかった。p66-Shcはストレス感受性マーカーでもあるので、老化脳では細胞ストレスが亢進していることを反映していると思われた(Sone et al.投稿済)。また、脳での発現が強いShcCについて、老化、寿命との関連を論じた総説をとりまとめた(Mori and Mori,2011)。 SCG10関連分子(ホモログ)のひとつであるSCLIPの遺伝子制御に関してNRSFの関与があることを証明したが、従来のサイレンサーNRSと異なり位置特異性があることを見出した(Sone et al.,2011)。NRS-NRSF系は種々の神経特異的分子の神経特異的発現を規定するが、がん細胞ではその制御が崩れる。その傾向を特にβIIIチューブリン遺伝子について示した(Shibazaki et al.,2012)。 老化脳では神経可塑性が低下することは海馬などでよく知られていたが、小脳の平行線維からプルキンエ細胞へのシナプスの可塑性が老化脳で極度に減退していること、その原因が酸化ストレスにあることを見出した(Kakizawa et al.,2012a)。この知見をもとに老化脳での可塑性低下のメカニズムについて総説をとりまとめた(森、柿澤,2011)。東大、京大との共同研究で、この可塑性低下を規定する分子が神経の小胞体膜上にあるカルシウム透過チャネルであるリアノジン受容体であることを突き止めた(Kakizawa et al.,2012b)。今後は、この分子のシステイン残基のニトロシル化と酸化の競合について老化脳で検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した内容で進展していない部分もありはするが、老化脳での神経可塑性の低下を明確に示し、なおかつその原因が酸化ストレスであることを示すことができ、さらにその根源にある分子がリアノジン受容体を介したカルシウム放出の制御にある可能性を見出しているので、来年度(最終年度)へ向けて非常に重要な発見に近づいているといえる。上の研究実績の概要欄には、スペースの関係で記載できなかったが、老化脳での蛋白凝集と蛋白質のアセチル化制御についての研究も順調に推移しており、来年度には明確な記述ができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
小脳での可塑性低下を規定する分子を特定し、その分子の上で最も重要な部位を同定し、老化脳での可塑性制御のメカニズムの一端を明らかにする。これに関連して、蛋白質のニトロシル化、アセチル化の制御分子のうち、微小管制御にも関わる脱アセチル化酵素HDAC6,SIRT2についての研究に加えて、アセチル化酵素関連分子としてNat5、Mdm20についての研究を進め、蛋白凝集から神経変性へのプロセスについて新たなメカニズムを見出せるよう努めたい。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Nitric oxide-induced calcium release via ryanodine receptors regulates neuronal function2012
Author(s)
Kakizawa S, Yamazawa T, Chen Y, Ito A, Murayama T, Oyamada H, Kurebayashi N, Sato O, Watanabe M, Mori N, Oguchi K, Sakurai T, Takeshima H, Saito N, Iino M
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Journal Title
The EMBO Journal
Volume: 31
Pages: 417-428
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Transcriptional and post-transcriptional regulation of βIII-tubulin protein expression in relation with cell cycle-dependent regulation of tumor cells2012
Author(s)
Shibazaki M, Maesawa C, Akasaka K, Kasai S, Yasuhira S, Kanno K, Nakayama I, Sugiyama T, Wakabayasi G, Masuda T, Mori N
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Journal Title
Int.J.Oncol.
Volume: 40(3)
Pages: 695-702
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] 老化脳2011
Author(s)
森望、柿澤昌
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Journal Title
Clinical Neuroscience別冊(中外医学社)
Volume: 29(7)
Pages: 811-815
Peer Reviewed
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