2011 Fiscal Year Annual Research Report
変異トロポニンTによる心筋症の病態分子メカニズムの解明と延命因子の探索
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22300130
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
栗原 敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90057026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草刈 洋一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80338889)
本郷 賢一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00256447)
小武海 公明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60360145)
佐々木 博之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (60170693)
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Keywords | 細胞内Ca / 線維化 / Ca感受性 / アンギオテンシン / 拡張型心筋症 |
Research Abstract |
本研究では、拡張型心筋症モデルマウスの心筋を用いて、心不全に至る形態的変化と機能的変化の分子機構を明らかにする。これまで、アンギオテンシンII受容体阻害薬(angiotensin II receptor blocker, ARB)の投与はモデルマウスの致死率を著しく改善することを発見したので、致死率改善の細胞内メカニズムを明らかにしてきた。ARB投与群は非投与群とくらべ、心エコーによる機能評価で心収縮力の増大を認めた。スキンド標本によるCa2+感受性測定では収縮蛋白系そのもののCa2+感受性改善効果は認められなかった。生筋標本での細胞内Ca2+トランジェント測定において、ARB投与群は細胞内Ca2+トランジェントの増加が認められ、それに伴う張力増強も認められた。一方でARB投与により心筋線維化は抑制されていた。心不全マーカーであるBNPは非投与群で著明に発現増加していたが、ARB投与群では正常心筋レベルにまで減少していた。さらに心電図解析を行ったところ、非投与群では著明なQRS幅の拡大とQT時間の延長を認めたが、ARB投与群では回復していた。このことは、ARB投与は拡張型心筋症モデルに対し延命効果を認めるが、そのメカニズムとして(1)線維化抑制効果、(2)Ca2+感受性非依存性の収縮力増強効果、(3)心臓内電気的リモデリング改善効果、を介して行われていることが示唆された。さらに我々は直接レニン阻害剤(direct renin inhibitor, DRI)を拡張型心筋症マウスに投与し、DRI投与でもARB投与と同等もしくはそれ以上の致死率改善効果があることを発見したので、こちらの延命効果についても検討を進めている。DRI投与でも心筋線維化が著明に抑制されていた。今後も引き続き代償機構を起こす細胞内メカニズムについて、研究を展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レニン阻害剤により、当初の予備実験以上に高度な延命効果が明らかになったため、より詳細な再実験と原因究明の検討を実施する必要が生じた
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の実施に際して、予備実験以上にレニン阻害剤による高度な延命効果が明らかになった。そのため、より詳細な再実験と原因究明の検討を実施する必要が生じ、新たに事前調査が必要となった。当初計画での機能形態評価・線維化関連因子の探索を引き続き施行していく。
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Research Products
(14 results)