2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久和 茂 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30177943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池 郁生 独立行政法人理化学研究所, 実験動物開発室, 専任研究員 (40183157)
滝本 一広 国立感染症研究所, 動物管理室, 主任研究官 (70280766)
酒井 宏治 国立感染症研究所, ウイルス第3部, 研究員 (70515535)
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Keywords | マウスノロウイルス / 感染症 / マウス / 微生物コントロール / 組換え抗原 / 弱酸性次亜塩素酸水 / 鶏糞セラミックス / 動物実験成績の修飾 |
Research Abstract |
理研BRCに寄託されるマウス全個体の糞便および血清の収集を継続して行ない、MNV感染検体を収集した。これらは疫学的情報に役立つ。血清学診断系への応用のため、MNV組換え遺伝子を用いた組換え抗原の精製を試みた。また、封入体として発現するタンパク抗原の高圧可溶化法の検討を進めた。診断系に組換え抗原を使用することにより、感染性ウイルスによるコンタミネーションのリスクを軽減することができる。BlOScN^<Tlr4lPs-del>×TNF-α^<-/->マウスとTlr4^<lPs-del>Rag2^<tmlFwa>IL2rb^<tmlMak>マウスの微生物モニタリングの囮動物としての可能性について検討し、両系統からMNV感染をRT-PCR法で確認できることを見出した。この成果は実験動物施設におけるMNV感染の迅速、正確な診断法の開発に役立つと考えられる。 鶏糞バイオセラミックスのin vivoでのMNV不活化作用の検討し、その有用性を確認した。また、in vitroで消毒効果の認められた塩素系消毒薬について、MNV感染マウスからMNVを除去できるかを検討したが、MNV排除効果は認められないことを確認した。これらの成果は動物施設におけるMNV感染の対策法を考慮する上で有用な情報となる。 MNV感染はマウスを用いた動物実験成績を修飾するのではないかと懸念されている。我々はマウスのマウス肝炎ウイルス(MHV)感染に対して、MNVは感染防御に働くことを確認した。また、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)による炎症性腸疾患モデルの病態をMNV感染は修飾することを見出した。これらの発見はマウスにおけるMNV感染防御の重要性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1)MNVの疫学調査、新規MNVの分離、2)マウスにおけるMNV感染症の病態解析および動物実験成績への影響の評価、3)MNVを用いたヒトノロウイルス感染症の疾患モデルの樹立などを柱とするMNVに関する総合的研究を行うことを目的としている。1と2に関してはほぼ予定通り研究が遂行しつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初より3つの柱(MNVを用いたヒトノロウイルス感染症の疾患モデルの樹立)は困難が予想された。したがって、最終年度は1、2の項目に重点的に実施するとともにその成果を取りまとめることに注力したい。 具体的にはこれまでと同様にMNV感染検体を収集し、感染研の酒井研究官に送付する。MNV組換え抗原の精製とそれを用いた血清検査系を確立する。MNV感染検出のための有用な囮動物の検証実験を引き続き検討する。 また、弱酸性次亜塩素酸水を飲水として2または4週間与えたマウスのケージにMNV感染マウスを同居させ、RT-PCR法により経時的に糞便中のMNV遺伝子の検出を行ない感染の有無を確認し、弱酸性次亜塩素酸水によりMNV感染を防御できるかを検討する。 さらに、MNV感染によりなぜMHV感染防御に働くのか、そのメカニズムについて検討する。
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Research Products
(17 results)