2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子状水素による健康増進・疾患抑制の新規分子機構の解明
Project/Area Number |
22300244
|
Research Institution | Institute of Applied Biochemistry |
Principal Investigator |
伊藤 雅史 (財)応用生化学研究所, 長寿・老化研究部, 部長 (80393114)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 欽司 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (80397455)
|
Keywords | 水素 / シグナル伝達 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
分子状水素は、ヒドロキシラジカルの選択的消去を介して、酸化ストレス関連疾患の発症・進行を抑制するものと考えられている。しかしながら、我々は酸化ストレスが病態に直接関与しない即時型アレルギーの動物・細胞モデルで水素がシグナル伝達系に作用してアレルギー抑制効果を示すことを報告し、水素効果の新規分子機構としてシグナル伝達の制御を提唱した。本研究では、各種疾患の細胞モデルで、(1)水素がシグナル伝達に及ぼす影響を検討し、(2)シグナル伝達経路における水素の作用点、標的分子を同定する。また、(3)DNAマイクロアレイ解析を行い、水素により発現が誘導される遺伝子を同定し、シグナル伝達制御との関連を検討する。以上の研究により、水素効果に対するシグナル伝達制御、遺伝子発現変化、ヒドロキシラジカル消去の関与を評価し、分子状水素による健康促進・疾患抑制の詳細な分子機構を解明することを目的としている。22年度の研究においては、炎症の細胞モデルで、水素存在下での培養が、シグナル伝達の抑制を介して遺伝子発現を変化させることにより、炎症反応を抑制することを見いだした。このモデルでは、水素は炎症刺激に伴い産生される活性酸素種には影響を与えず、シグナル伝達経路上の特定の分子またはその上流に位置する分子に作用している可能性が示唆された。さらには、炎症の動物モデルで、分子状水素を含有する水素水の投与が炎症を軽減することも確認した。今後、DNAマイクロアレイ解析を行い、水素によるシグナル伝達制御が遺伝子発現に及ぼす影響を網羅的に検討する。一方、細胞・動物レベルの実験において、水素処理の濃度・時間・方法を変化させられるシステムを開発した。今後、シグナル伝達、遺伝子発現への影響を主な指標として、水素効果が得られる至適条件の検討およびその分子機構の解明を行う。
|
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] Involvement of heme oxygenase-1 induction via Nrfl/ARE activation in protection against H_2O_2-induced PC12 cell death by a metabolite of sesamin contained in sesame seeds.2011
Author(s)
Hamada N, Tanaka A, Fujita Y, Itoh T, Ono Y, Kitagawa Y, Tomimori N, Kiso Y, Akao Y, Nozawa Y, Ito M
-
Journal Title
Bioorg Med Chem
Volume: 19
Pages: 1959-1965
Peer Reviewed
-
-
-