Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 史郎 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (10294307)
小林 正秀 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 講師 (10468259)
檜谷 美恵子 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (60238318)
田中 和博 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70155117)
|
Research Abstract |
2002年12月の国連総会において,「国連持続可能な開発のための教育の10年(Education for Sustainable Development, 2005~2014)」が決議された.それは,持続可能な世界の実現、人と人,人と自然のつながりを大切にする地域づくり,そして,それらの基礎となる教育の重要性をうたったものである. 本研究は, 京都府北部の丹後半島全域を対象として,人間生活と自然が乖離し, ゆえに自然が荒廃しつつある現代社会において, 自然共生型の生活文化と行動を内包する「遊び仕事」に着目し, 「遊び仕事」が現代日本人の生活行動を自然共生に向かわせる第一歩, 人間生活と自然を結びつけるブレークスルーとなり得ると確信し, 「遊び仕事」の今日的あり方について検討を重ねた. 一方, 筆者は, イヴァン・イリイチの主張である「サブシステンス(自立自存)」概念との出逢いを契機として, 従来の「遊び仕事=マイナーサブシステンス」という捉え方が, 単に「遊び仕事」を経済的活動としてのサブシステンス(生業)との関連で定義付けされていることに対して,「遊び仕事」を人間のサブシステンス(自立自存)な行為(遊び仕事=サブシステンス)として捉え直そうと考えた. 本研究では, 元来, 自然との共生の中で行われてきた人間生活の諸活動が「体制・市場・産業的サービス」の受け手に甘んじ, その結果,ヴァナキュラーな生活・活動が消失し, 生活の自立・自存の基盤が破壊されつつある現在, ほんとうの豊かさや人間らしい生き方, そして社会とは何かを求めて, 現代社会において忘れかけ, 消滅しかけている「遊び仕事」を, 人間のサブシステンスな行為・活動としてとらえ直し, その結果、サブシステンスの今日的価値として、必要十分、もったいない、互酬性、共同体規範、非市場経済などの視点を抽出した.
|