2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規バイオマーカーを取り入れた糖尿病末期腎症患者のための食生活環境評価法の開発
Project/Area Number |
22300262
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
坂上 元祥 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (20283913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 美紀子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (50314852)
神原 咲子 近大姫路大学, 看護学部, 講師 (90438268)
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Keywords | 糖尿病腎症 / リン / 血液透析 / 慢性腎臓病 / 食品添加物 |
Research Abstract |
本研究は高リン血症に注目し、糖尿病末期腎症のため血液透析を受ける患者のQOLと生命予後を改善することを目的とし、良好な血清リンの管理に役立つバイオマーカーを指標とした栄養管理の可能性を明らかにすることを目標にしている。23年度は昨年十分実施出来なかった血液透析患者の食生活とリン摂取量の調査に重点をおいて研究を実施した。 兵庫県姫路市にある調査協力施設である医療法人光寿会の通院透析部門である光寿会クリニックを中心に透析患者約250人のうち、面接式のアンケートが可能で協力が得られた62名を対象として実施した。質問用紙はTokudomeらにより開発された半定量食物摂取頻度調査法を用い、面接式の調査を行った。これに加えリンを多く含む加工食品(外食・中食)に調査項目を絞った食事頻度調査と食意識調査もあわせて実施した。半定量食物摂取頻度調査法によると摂取エネルギー量は1452.8±363.9kcal、摂取タンパク質量は48.8±14.3g、摂取リン量は649.3±195.9mgであり、非糖尿病性腎症患者群と有意な差は認められなかった。また、炭酸ランタンなど新しい高リン治療薬の使用により、リン摂取量が必ずしも血清リン量に反映しない実態も明らかになった。次に摂取リン量に影響する患者背景や食意識について解析した。「食事の時にリンを控える」、「穀類をしっかり食べる」、「加工食品を利用する」にかかわる食行動が摂取リン量に有意に影響することが明らかになった。 半定量食物摂取頻度調査において予想外にインスタント麺は食べられていたことが明らかになった。昨年は市販に弁当やハム・ソーセージを中心に行った加工食品の含有リン量の測定は、インスタント麺など実際に食べられている食品を追加して実施した。現在この結果を用いて加工食品などの正確なリン含有量を推定する方法を構築している。なお、FGF-23などのバイオマーカーの測定を現在実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加工食品の含有リン量の解析は予定通りすすみ、透析患者の生活習慣調査(加工食品等の摂取を含む)も予定数の患者を対象として実施出来た。しかし、透析患者の生活習慣調査に時間と人手がかかり過ぎたため、血中FGF-23濃度の測定と骨代謝マーカーの測定と解析は平成24年度にずれ込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた加工食品のリン含有量のデータを用いて透析患者が加工食品等から摂取しているリン量を評価する方法を確立する。平成23年度手間取った透析患者の生活習慣調査に関しては、平成24年度に大学院博士前期課程に入学するベテラン管理栄養士(社会人)をこの調査に組み入れ、指導のもと調査の効率のアップを図る。これによって生じた時間を血中FGF-23や骨代謝マーカーの測定などに充てる。さらに結果を早期にまとめ、栄養関係の学術誌への投稿を行う予定である。
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Research Products
(26 results)