2011 Fiscal Year Annual Research Report
思春期女子における骨粗しょう症のリスク軽減と予防に関する遺伝栄養学的研究
Project/Area Number |
22300265
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
瀧井 幸男 京都学園大学, バイオ環境学部, 客員研究員 (70154937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
關谷 次郎 京都学園大学, バイオ環境学部, 教授 (10035123)
山本 周美 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (60441234)
西村 沙矢香 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助手 (00509177)
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Keywords | 骨粗しょう症 / 思春期 / 骨量 / 遺伝子診断 / 食行動 / プレバイオテイクス / カルシウム食 / 摂食行動 |
Research Abstract |
女性の基本骨格は思春期までに構築され閉経期まで持続するが、妊娠・出産後に歯周組織の骨量成分が可溶化されるリスクを負う。遺伝素因を除外すれば、その最大骨量を維持するためにはカルシウム食の摂取・補填に努めることが肝要である。正常な歯周組織と胃の活動促進は消化・吸収機能を高め、カルシウム成分の補填維持をもたらすので、乳酸菌(生菌・死菌)発酵食の継続摂取と健康増進の関連性について精査した。ストレスリスク・免疫賦活判定にコルチゾールとナチュラルキラー(NK)活性を各々選択し、食行動調査表(EAT-26)を用いて摂食行動を追跡した。 1.同意を得た女子学生56名(平均年齢18.5±0.6歳)の身体的特徴分布は、体脂肪率(%):2.647±0.246、BMI(kg/m^2):20.75±2.2、OSI(骨評価値):2.647±0.246であった。遺伝素因として選択したVDR遺伝子型分布は、正常型bbが75%、変異型hetero Bbが23%、homo BBが2%であるが、骨量値(OSI)は2.60、2.40、2.55といずれも正常値を示した。標準体重群はEAT-26置換合計得点が高い群と対応する結果が得られたが、食行動異常群ではBMIや外見だけでは判別できなかった。各人の体質(遺伝素因)と併せて日常の食行動を追跡することが思春期女子の健康保持に重要であると決定した。 2.コルチゾール値は活性変動が著しく被験者の日内変動を追跡する必要性がみられた。NK活性では生菌・死菌を問わず有意な昂進効果があった(プラセボ群38.1±15.2、死菌摂取群:47.7±20.1)。 3.乳製品食品が有するプレバイオテイクスとしての免疫賦活発現の重要性がわかり、乳酸発酵食品を摂取することにより、カルシウム供給とプレバイオテイクス機能の相乗効果の継時的効果判定が骨粗しょう症リスクの低減に重要であることを実証できた。これは今後の研究目的達成推進にとって大きいインパクトを与えるものであると結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
思春期女子の食環境においては乳酸菌発酵食品の継続摂取が有効であること及びこれに適切な軽度運動が付与されれば、著量の健康増進が図られることがわかり、研究目的達成に大きく貢献した。カルシウム成分摂取と腸内改善機能を発現するプレバイオテイクスを持続的に供給しえたことがその最大要因であり、逼切な骨量形成とその維持に効果があった。また食生活におけるストレス感受性試験には、これまでの爪遺伝子診断法に加えて、さらに簡便で非侵襲性のスワブを用いる口腔細胞調製法が最適であることがわかった。すなわち思春期女子が人生のできるだけ早期に、適度の運動負荷とストレスを伴わない適切な食行動を維持して健全な食生活を送ることを充足できる「食育の円滑な実施」が肝要であることを実証できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究計画終了前々年度にあたり、上記11の達成度を深化発展させるため新規カルシウム含有乳製品創製の契機に充当させたい。今年度の研究成果で発表する新規開発乳酸菌Lactobacillus buchneriはオランダ政府公式菌株保存機関の要請によりNCCB番号が付与され登録保存されることが決定した。この成果により世界の研究機関が本菌株を利用する途が開け、その活用が飛躍的に増大することが充分予測される。さらに免疫賦活活性測定に必須となった非侵襲性ヒト唾液・口腔細胞スワブ採取に向けたスクリーニングを実施し、日内変動、個入差閾値の設定と遺伝子診断法構築を推進する対応策が望まれる。以上の研究推進方策に向けた研究方針項目を設定するとともに、これまで得られた研究成果を学綬雑誌に投稿していく。
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