2012 Fiscal Year Annual Research Report
伝統工芸技能指導者育成モデルの研究-外在主義的知識観による学びの日常化-
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22300271
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小松 研治 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (10186794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 裕子 富山大学, 芸術文化学部, 准教授 (30212468)
小郷 直言 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (70115137)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 技能伝承 / 環境 / 外在主義 / 可視化 / 痕跡 |
Research Abstract |
本年度は5年計画の3年目であり、これまで調査してきた技能を伝える(伝承)技術について、作業環境を中心に、道具、段取り、素材、補助具についての調査や教材制作を継続して進めた。 さらに、それらの教材が、海外の学生にもわかりやすいのかどうかを評価するため、北欧スウェーデンのリンショーピン大学カールマルムステン校において、技能の可視化として準備した教材がどれほど理解を助けたのかを、「鉋の研ぎ」をテーマに実験を行った。準備した教材は、鉋の研ぎを技能者が説明し実施するビデオ、木材で作成した刃や直し台などの模型(理解しづらい部分を強調した模型)、工程見本、圧力試験紙、テキストなど18種類である。実験の最後に実施したアンケートでは、実際にやってみせることが重要であることのみならず、準備した模型の効果や適正が確認できた。 また、可視化教材として「鉋台刃物仕込工程見本」を制作し、学生が日常的に学べるよう大学内に展示した。さらに映像による可視化教材として、鉋の研ぎを具体的テーマにして、高度技能技能者による伝承する立場からのビデオを製作することによって、技能者が自ら技能を伝承するに必要なことがらについて準備的な実験を行った。これらのビデオはDVDで配布可能であり、YouTubeにて限定公開準備も整った。 そのほか研究成果としては、研究の基盤となる考え方「痕跡から人々の環境や道具の改善への手がかりを得る」について、これまで調査し考察した知見を文書化した。また、海外の技能者育成についてマイスター制をとりあげ、日本の技能伝承との違いを浮き彫りにした。それぞれは紀要に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画通り、技能を伝える技術の調査を国内外で行うことができた。また、具体的な可視化物の制作をはじめ可視化教材として、DVDなどを用いて海外でも効果を図ることができた。また、これまでの研究成果について紀要やCD配布などで発表してきた。 以上のことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、引き続き伝承技術の取材・調査のほか、技能を可視化した教材(ビデオ含)を大学教育環境に設置しその効果をさらに高める。また、これまで調査実験した結果をもとに、平成26年度にかけて伝承者育成モデルを構築する。当然ながら順次成果を書籍、展示会、学会発表のほか、web上でも継続して公開していく予定である
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