2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫の遺伝子異常の同定と新規分子診断法の開発
Project/Area Number |
22300338
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
関戸 好孝 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 部長 (00311712)
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Keywords | 中皮腫 / がん抑制遺伝子 / ゲノム異常 / がん遺伝子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
染色体13q12.11におけるLATS2遺伝子の変異解析を進め、中皮腫細胞株合計20株中4株にホモザイガス欠失を、3株にナンセンス変異あるいは小欠失を同定した。LATS2発現プラスミド、レンチウイルスベクターを構築し、LATS2欠損中皮腫細胞株にトランスフェクションしたところ、増殖能および足場非依存性増殖能の低下を明らかにした。さらにボイデンチャンバー法にて浸潤能の低下を明らかにした。25症例の臨床腫瘍検体からゲノムDNAを抽出し、アレイCGH解析あるいはシークエンシングを施行し3例において不活性型ゲノム異常を同定した。さらに45症例で抗LATS2抗体を用いて免疫組織染色を施行したところ、13例(29%)で発現の減弱を認めた。一方、LATS2が制御するYAPがん遺伝子産物についても解析を進めた。野生型LATS2遺伝子のトランスフェクションにより、YAPがリン酸化され転写コアクチベーターとして不活性化されることを明らかにした。さらに、免疫組織染色にて45例中36例にてYAPの発現を確認し、33例において細胞核での強陽性所見を認め、多くの中皮腫組織においてYAPが恒常的に活性化していることを明らかにした。これらの結果は、LATS2遺伝子が悪性中皮腫における新規がん抑制遺伝子であり、NF2遺伝子異常のみならずLATS2遺伝子の異常によってもYAPが恒常的に活性化して中皮腫細胞の増殖が促進されていることを強く示唆した。一方、アレイCGH解析で検出された染色体コピー数が変化する領域(gainあるいはloss)についてシークエンスキャプチャー法を行った。
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