2010 Fiscal Year Annual Research Report
可視紫外同時分光観測による地表境界層オゾンのリモートセンシング手法の開発
Project/Area Number |
22310004
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
北 和之 茨城大学, 理学部, 准教授 (30221914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 仁士 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (40392956)
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Keywords | 対流圏オゾン / リモートセンシング / 越境大気汚染 / 静止衛星 |
Research Abstract |
日本ではオゾン前駆気体の放出量・大気中濃度ともに減少傾向にあるにも拘らず、1980年代後半より対流圏オゾン濃度は逆に増加傾向にあり、アジア大陸などからの越境汚染の影響の重要性が指摘されている。越境汚染の把握に有効な静止衛星による観測が計画されつつあるが、従来の紫外分光リモートセンシング観測では従来成層圏成分と対流圏成分の分離が難しかった。本研究では、可視紫外で同時分光観測を行うことで、両者での散乱・光路長の差から下部対流圏オゾン量を分離して推定することが可能であるか、観測とシミュレーションの両面から検証することが目的である。 放射モデルによるシミュレーションによって、分光観測によるオゾンカラム量測定精度、オゾン高度分布、エアロゾル分布などが推定結果に与える影響を定量化した。その結果、この手法においては1%程度の高精度で紫外および可視のカラム量を求めることが必要であることがわかった。オゾン高度分布の誤差はあまり影響しないが、エアロゾルの高度分布や光学的性質も重要な誤差要因となりうるため、その推定も重要であることが示された。 今年度の検証観測は、筑波山山頂から斜め下方からの可視紫外散乱光を同時分光観測することで実施した。分光観測の結果と、シミュレーションおよび直接測定から求めた値を比較すると、紫外域では両者がほぼ一致する結果が得られたが、可視域では分光観測の値が有意に大きく、スペクトルフィッティングおよび地表アルベドの波長依存性の考慮が不十分であるためと推測された。今後、これらの点についての改善が必要である。さらに、平成23年中に航空機観測を実施するため、使用予定の航空機の改造を行い、航空局の検査に合格した。
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