2011 Fiscal Year Annual Research Report
可視紫外同時分光観測による地表境界層オゾンのリモートセンシング手法の開発
Project/Area Number |
22310004
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
北 和之 茨城大学, 理学部, 教授 (30221914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 仁士 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 特任准教授 (40392956)
野口 克行 奈良女子大学, 自然科学系, 助教 (20397839)
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Keywords | 対流圏オゾン / リモートセンシング |
Research Abstract |
中国などアジア大陸からの対流圏オゾン越境汚染が日本などで重大な問題となりつつある。このような広域的な大気汚染の実態を理解するためには、衛星からの観測が有効であると考えられる。対流圏下部でのオゾン濃度を衛星からリモートセンシングで観測する手法として、可視・紫外域の両方でオゾンの同時分光観測を行うことで、両者で得られる傾斜オゾンカラム量の差から、地表付近のみのオゾン量を検出できる手法を考案し、航空機および地上での模擬観測を通じ、この手法を実証することが本研究の目的である。 夏季および冬期の2回の航空機観測を実施し、高度約8kmから、ほぼ同時に可視および紫外域での太陽後方散乱光スペクトルを測定した。その際、地表状態により大きく異なる地表反射スペクトルを推定するため、高度約500mからの地表反射光スペクトルも測定した。この観測データから下部対流圏オゾン導出を行う上で、特に可視域Chappuis帯での差分吸光フィッティングによるオゾンカラム量推定精度が重要である。それを確認するため、地上での太陽直達光観測を実施し、紫外域Huggins帯で導出したオゾンカラム量と可視域Chappuis帯で導出したオゾンカラム量を比較したところ4%以内で一致した。主な誤差要因は、観測に用いた分光計の装置関数であり、太陽スペクトルフィッティングにより改善する手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分光観測装置のトラブルにより、航空機観測の実施が1年遅れたこともあり、そのデータ解析が現在完了しておらず、この研究で目標としていた、可視・紫外域の両方で同時分光観測を行うことで、下部対流圏オゾン量を検出できる手法に関し、まだデータ解析およびオゾン量推定アルゴリズムの開発が完了しておらず、その精度の検証も不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、本研究の目標を達成するため以下の3点について、研究を集中している。 1. 精度良く、紫外および可視域の両方での差分吸光フィッティングでオゾンカラム量を推定するため、観測に用いた分光計の装置関数の推定の改善。 2. 高度約500mから測定した地表反射光スペクトルを基に、大気減衰を考慮して、地表反射率スペクトルを、様々な地表条件毎に推定するとともに、それを考慮した差分吸光フィッティングアルゴリズムの開発。 3. 観測時の等価光路長を正確に推定するため、分光データからエアロゾル光学厚を推定し、観測されたエアロゾル光学特性と比較するとともに、それを考慮した等価光路長推定アルゴリズムの開発とその精度評価。 以上3点について、現在進めている開発を完了させることで、下部対流圏オゾン推定の可能性を定量的に検討するとともに、使用波長域などの最適化を進める。
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Research Products
(4 results)