2010 Fiscal Year Annual Research Report
流出水の化学物質による生態影響リスクのミチゲーションのための人工湿地システム開発
Project/Area Number |
22310043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 和典 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30292519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80208214)
野村 宗弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70359537)
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Keywords | 人工湿地 / 面源負荷 / 生態影響 / 微量化学物質 / 亜鉛 / ペルフルオロカーボン / 多環芳香族炭化水素 / 競合 |
Research Abstract |
道路・市街地・農地等からの表面流出水は未規制であり,一般水質項目はもとより水圏生態系への影響が懸念される多様な微量化学物質が含まれており,生態影響リスクの緩和措置(ミチゲーション)の必要性が顕在化している.本研究は,多様な微量化学物質に包括的に対応するための3種類の人工湿地ユニットを開発し,これを組み合わせたハイブリッド型人工湿地システムを構築することにより流出水の多様な微量化学物質の除去機能を強化し,生態影響リスクのミチゲーションを実現できるシステムを確立することを目的としている.研究初年度である平成22年度は,まず陽イオンとして存在する亜鉛等の重金属,陰イオンとして存在するリン,クロム酸,ペルフルオロカーボン,疎水性物質である多環芳香族炭化水素それぞれの除去に適したろ材を絞り込むための文献調査を行い,ついでその情報をもとに集めた15種類のろ材を用いたスクリーニング実験を実際の路面排水を模倣した濃度条件下で実施した.その結果,活性炭は疎水性物質だけでなく100ng/l以下の微量濃度のペルフルオロカーボンの除去にも効果を発揮することを確認できた.また,ハイドロタルサイトおよびセリウム系の材料が,陰イオン性物質の除去に有効であることが分かった.この中で特にハイドロタルサイトは,陽イオンである亜鉛の除去にも効果を発揮することが分かった.さらに同種のイオン間の競合関係により最も低濃度で存在するペルフルオロカーボンの吸着が多成分系においては阻害されることが予想されたが,予想に反してペルフルオロカーボンについては例外的に阻害が生じないことが明らかとなった.以上の結果より,多様な微量化学物質に包括的に対応するための人工湿地ユニットに適用するろ材材料を絞り込むことができた.次年度は,これらの材料によりハイブリッド化した人工湿地ユニットを構築して通水試験を行う予定である.
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Research Products
(1 results)