2011 Fiscal Year Annual Research Report
八郎湖の植生浄化をめざした埋土種子を用いた枕水植物の再生に関する研究
Project/Area Number |
22310051
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
尾崎 保夫 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (10029308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 弘彦 公立大学法人秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (10355703)
宮田 直幸 公立大学法人秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (20285191)
岡野 邦宏 公立大学法人秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30455927)
林 紀男 千葉県立中央博物館, 生態学研究科, 上席研究員 (60250156)
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Keywords | 沈水植物 / 植生再生 / 埋土種子 / 八郎湖 / アオコ / 水質改善 |
Research Abstract |
八郎湖流域4カ所(旧湖岸、旧船越水道内にできた一向池、大潟村農村公園の池、待入堤)から底質を採取し、大学圃場の大型水槽と東部承水路の沈水植物再生ゾーンに撒き出し、水生植物の発芽・再生試験を行った。その結果、大学圃場の大型水槽では、沈水植物11種、浮葉植物2種、抽水植物5種の合計18種の水生植物が再生したが、東部承水路の沈水植物再生ゾーンでは、5種の水生植物(沈水植物4種と浮葉植物1種)しか再生しなかった。これには、八郎湖の高い濁度による光量子の不足と波浪による埋土種子の流失等が関係しているものと推察された。 平成23年度には、新たに設置した埋土種子の発芽・再生試験枠(水深50~150cm)に一向池の底質を充填し、水深が沈水植物の再生に与える影響を調査したところ、リュウノヒゲモは水深150cmでも再生したが、イバラモは水深50cmのみで発芽した。また、遮光ネットを用いた沈水植物の生育試験より、イトクズモは強光要求性であるが、ホザキノフサモおよびセンニンモは強光阻害を受け、遮光率50-70%が至適光条件となることを明らかにした。 食害防止ネットを用いた試験区では、想定したアメリカザリガニおよび草食魚類の影響は限定的であり、波浪による底質の流失が沈水植物の発芽・定着を阻む最も大きな要因であることを明らかにした。 大学圃場に設置した角型水槽6個(水の保持量約1トン)に、旧八郎潟に多く生育していた沈水植物(ヒロバノエビモ、ホザキノフサモ、センニンモ)を植栽後、アオコを含む八郎湖の湖水を添加して、各沈水植物がアオコを含む植物プランクトンの生育や水質に与える影響を調査し、センニンモはホザキノフサモやヒロバノエビモよりアオコ増殖抑制効果の高いことを確認した。センニンモのアオコ増速抑制機構の詳細は、平成24年度に調査・解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
八郎湖流域で採取した底質より学内の大型水槽では18種類の水生植物が再生したが、八郎湖の植生再生ゾーンでは、5種の水生植物しか再生せず、沈水植物の再生には濁度や波浪の影響が大きいことを明らかにした。調査した沈水植物の中で、センニンモはアオコの増殖抑制効果が高いこと、また、光条件により再生する沈水植物の種類が異なることを認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、水の流動・交換条件の異なる植生再生ゾーン(5種類の消波工利用)に埋土種子を撒き出し、沈水植物の発芽・定着に適した消波工の構造や沈水植物のアオコ増殖抑制効果を調査・解析する。 また、現在の八郎湖の立地条件に合った水生植物の再生法を提示するため、大学圃場で旧八郎潟に生育していた沈水植物(センニンモ、ホザキノフサモ、ヒロハノエビモ、リュウノヒゲモなど)を育苗後、各沈水植物を生分解性ポット等に入れて構造の異なる植生再生ゾーン等に移植し、水質、濁度、波浪、水深などが各沈水植物の生育・定着に与える影響を調査・解析する予定である。
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Research Products
(9 results)