2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22310062
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
影島 博之 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (70374072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 行徳 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主幹研究員 (80374073)
登坂 仁一郎 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 研究員 (30515573)
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Keywords | ナノ構造 / IV族半導体 / 誘電率 / 不純物準位 / 第一原理計算 / ELスペクトル / シュタルク効果 |
Research Abstract |
理論面では、誘電率制御を目指したナノ構造形成制御手法を重点的に検討した。SiC上グラフェンでは、ナノアイランド構造やアロー構造、フィンガー構造と言ったナノ構造が形成されることが実験的に明らかになっており、これらのナノ構造を任意に作り分けることができれば、誘電率制御が期待できる。そこでこのSiC上グラフェンナノ構造をIV族半導体ナノ構造のプロトタイプとし、SiCの熱分解によってグラフェンが形成されるメカニズムを検討することを通じて、逆に任意のグラフェンナノ構造をどのように形成したら良いのか、その制御指針を解明することを目指した。 第一原理計算による検討の結果、熱分解によってSiが脱離することで表面に余剰Cができ、その余剰Cが凝集することでグラフェンが形成されるが、この時Si脱離が発生する場所と余剰Cが凝集する場所は空間的に異なっていると考えられることが明らかになった。表面において空間的な役割を分けるものとしてはステップが最有力であることから、熱分解とC凝集におけるステップの役割の重要性が示唆された。 一方、実験面では、ナノ構造内の不純物準位を通して誘電率変化を確認することを目指して、不純物を導入した極薄Si層の光電気測定を引き続き行った。まず、薄層SOI-MOSFETに対し電子トンネル分光を行うことを試み、シリコン層の二次元状態形成を確認。次に、同様の薄層SOI-MOSFETにpコンタクトを設けたデバイスを作成し、今度はトンネル電子注入と正孔供給を行い、シリコン量子井戸からのバンド端に近いEL発光を確認。その結果から薄層SOIによる閉じ込めが発光効率向上に寄与していることがわかった。更に、SOI-MOSFETのチャネル層にP不純物を導入、ゲート電界効果によりEL発光強度が突然減少する現象を観測。電界によるPからサブバンドへの電子の引きはがしと同定し、不純物準位の観測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論面では、誘電率制御のためのナノ構造形成制御について、ナノ構造成長における表面のステップの役割の重要性がわかったことで、次に検討すべきことが明確になっている。実験面では苦労しているが、この困難さは最初から予想されたものであり、それでも不純物の効果を光電気測定で確認できていることで、大事な橋頭堡を築くことが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論面では、誘電率制御を目指したナノ構造形成制御の検討に重点を置く。余力があれば、ナノ構造の物性評価も鋭意行う。 実験面では、引き続き光電気測定のための試料作成を行い、物性評価を試みるほか、電気測定も試みる。
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Research Products
(17 results)