2010 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェンエッジ状態を利用した強磁性ナノ炭素粒子の作製とキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
22310070
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
坂東 俊治 名城大学, 理工学部, 教授 (20231540)
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Keywords | ナノ炭素粒子 / 炭素磁性 / 分子磁性 / 遠心分離 |
Research Abstract |
強磁性的な振る舞いを示す泡状ナノ炭素(カーボンナノフォーム: CNF)粒子を水素ガスを含む雰囲気中で作製し,磁性元素であるFe, Co, Niの含有量を,本計画で購入した原子吸光分光光度計を用いて詳細に調べた.その結果,CNF試料にはFeが数100ppm含まれていることを確認したが,SQUIDで検出されるCNFの強磁性を説明できる量ではなく,炭素系の強磁性であることが明確になった.その後,原料炭素粉末に同程度のFe元素が含まれることを見出し,塩酸処理を行い原料粉末のFe含有量を10ppm以下に抑えた炭素粉末を作製し,CNF試料を作った.その結果,そのような炭素粉末を用いて作製したCNFでも0.2emu-G/g程度の飽和磁化を持つ強磁性を示すことを明らかにした.SQUIDによる磁性測定では,磁化は4000ガウス程度の磁場で飽和し,磁化曲線は4.2から400Kまでの広い範囲で温度依存性を示さず,かつ,ヒステリシスも示さないという特異な挙動を見出した(ただし4.2Kでは微量常磁性成分による磁化曲線の重畳を確認することができる).また,試料にはCNF以外に小さなフレーク状のグラファイト粒子も含まれる.これらの粒子の除去は,CNF粒子をエタノール中に超音波分散させ,遠心分離することにより行った.CNF粒子ではグラファイトの(002)面からのX線回折線が極度に広がるのに対し(二層面からの回折のため),フレーク状グラファイト粒子では鋭い回折線を与える.この様なX線回折の特徴を利用し,分離度を定量的に取り扱い,500G程度の遠心加速度でCNF粒子とフレーク状グラファイトが効率よく分離できることを見出した.このような成果に伴い,CNF粒子の分級やそれに伴う磁性の変化を研究する基盤を確立することができた.
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Research Products
(4 results)