2011 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェンエッジ状態を利用した強磁性ナノ炭素粒子の作製とキャラクタリゼーション
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22310070
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
坂東 俊治 名城大学, 理工学部, 教授 (20231540)
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Keywords | ナノ材料 / 複合材料・物性 |
Research Abstract |
カーボンナノフォーム(CNF)作製における水素濃度の決定は重要であり,磁性を有するCNF粒子が効率良く生成する条件を決定した.その結果,1%以下の水素含有量では強い磁性を有する試料を得ることはできず,1%を超えると急激に強い磁性を示す試料成分が増加することを見出した.さらに,出発原料に含まれる400ppm程度のFe不純物も,磁性CNFの生成には重要であることが分かった.しかし,CNFで検出されている強磁性は,不純物として混入しているFeの磁性の寄与だけで定量的に説明できる大きさではない.このようなFeは,六員環結合する炭素ネットワークに欠陥を生成させ,そこに強磁性に寄与する局在電子が存在するものと解釈している.CNF粒子は二次凝集しているため一次粒子への分割を行った.各種分割方法を試した結果,ジェットミルによる粉砕が良い結果を与えることが分かった.1500回のジェットミル粉砕では,平均粒径150nm程度の粒子に分級することができる.同様に,3000回では80nmの平均粒径を持つCNFへの分級,5000回ではポリカーボネート系フィルターにより65nmのCNFへ分級を行うことができた(DLSで測定).ただし,TEMでは20-40nm程度のCNFが確認できるため,再凝集した可能性がある.65nmまで分級したCNFの分散安定性を調べると,3日後には1800nmの粒径を示す成分が見られるようになり,CNFは凝集して行くことが分かった.H23年度の実験計画でもこのことを予測し,界面活性剤等を用いて分散性安定性を増す実験を完結させる計画であったが,年度内に終了させることはできなかった.ただし,エタノールにDMFを1%添加することにより凝集を抑制し,3日後でも200nmの粒径までしか凝集しないことを確認している.H24年度は,分散性を保ったまま一次粒子に分級した磁性CNFの磁気測定を行い,磁性の本質を解明すると共に,グラフェン膜上に磁性炭素ナノ粒子を薄膜状に担持させ,グラフェンの伝導性を炭素磁性体で制御可能かどうかを調べる実験を行いたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レーザー蒸発法を用いたカーボンナノフォーム試料の作製では,一回の実験に6時間程度かかり,得られる試料量としては10mg程度である.試料の分級実験では,同じ試料を用いて各種分割方法(超音波,ジェットミル,ビーズミルなど)を行い,その結果を比較検討する必要がある.このため,分級実験用の試料として100mg程度作製する必要があり,試料作製に予想以上の時間がかかり,分割方法の具体的な評価への取り掛かりが数カ月遅れたことがあげられる.さらに,原料炭素粉末の精製・調整に手間取り,磁性を発現するカーボンナノフォーム試料作製条件の最適化に時間を要することになった.
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Strategy for Future Research Activity |
磁性CNF試料の作製条件の最適化や既設の実験装置を用いたときの生成量も把握した.さらに,一次粒子への分割・分級もジェットミルを用いて行う事ができる目途を立てた.ただし,一次粒子の分散安定性の面で解決しなければならない問題が生じたため,各種分散剤を用いて一次粒子の凝集を防ぐ方法を確立する必要がある.現在,DMFを用いる方法である程度目途を立てているため,今後,SDS等の界面活性剤を用いて分散安定性の向上を調べる.申請当初の計画に従って,CNF粒子の薄膜化処理を行う.実施方法としては,数%のPMMA(アクリル樹脂)等をCNF分散溶液に添加し,基板上へスピンコートすることにより行う.作製した膜の磁気特性(磁場を膜に平行と垂直に印加)を調べる.さらに,本研究室で作製したグラフェン膜上への磁性CNF粒子の付着を行い,CNFの磁性がグラフェンの伝導性に与える影響を調べ,炭素を基盤としたトンネル磁気抵抗効果が可能かどうかも調査する.
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Research Products
(1 results)