2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22310086
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
永瀬 雅夫 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20393762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 佳明 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 社員 (70393783)
影島 博之 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (70374072)
山口 浩司 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 部長 (60374071)
岡本 創 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 社員 (20350465)
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Keywords | ナノ材料 / マイクロ・ナノデバイス / 計測工学 / グラフェン |
Research Abstract |
ポストシリコンの電子材料として注目を浴びているグラフェンの局所電子物性と機械物性の制御を実現してデバイス化への路を探る。グラフェンの優れた各種の物性を複合化して新たなデバイスを実現することは重要な課題であり、本研究課題では、電子・機械複合物性を利用したグラフェン薄膜の新たな機能発現の可能性を探索する。 今年度は、昨年度までの検討で発見したSiC上グラフェンの電子・機械複合物性の発現の一例である、電流スイッチ現象について検討を進めた。超高真空中加熱により作製した2層グラフェンのみならず、Ar雰囲気中加熱により作製した単層グラフェンでも同様の現象が発現することが確認できた。これにより、電流スイッチ現象がSiC上グラフェンでの一般的な現象であることが判った。また、グラフェンとプローブの機械的相互作用を理解する上で重要なナノオーダーでの摩擦力の定量化の検討を進め、各種のプローブに対する摩擦係数の導出に成功した。プローブとグラフェンの摩擦特性は概ね接触面積に支配されていることが判り、グラフェンとプローブとの相互作用の理解が進んだ。さらに、昨年度までに確立した顕微ラマン分光法を用いたグラフェン膜質の評価技術を適用してAr雰囲気中加熱により作製するグラフェンの高均一・高品質化を図り、高均一な単層グラフェンの形成にも成功した。均質なグラフェン試料を用いた検討を行うことにより、より一層、電流スイッチ現象の理解が進むものと期待される。今後のグラフェンを用いた電子・機械物性のデバイス化に必要となるSiC基板の光アシスト電界エッチングの検討にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電流スイッチ現象の再現性の確認が出来た。また、高均一単層グラフェンの実現により今後の検討の効率化を図ることが可能となった。科研費を活用した研究環境の整備が進み、質の高い実験が行えるようになってきた。なお、これまでの成果を受けて多くの招待講演を行っており、本研究課題の社会貢献も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ当初の研究計画通りに進行していることから、研究計画に従って研究を推進する予定である。 電流スイッチ現象のデバイス化への見通しを得るためには、その原理解明が必要でありこの点に最も注力する予定である。また、デバイス化に向けた要素技術であるSiCエッチングについても、重要課題として位置づけて推進する。
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Research Products
(32 results)