2011 Fiscal Year Annual Research Report
グレイゾーンでの判断能力向上を目指したリスクマネジメント論の体系化
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22310091
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
田中 健次 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 教授 (60197415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 誠 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (00282343)
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Keywords | グレイゾーン / リスクマネジメント / 製品安全 / 過信 / 取扱説明書 / 警告表示 / マニュアル |
Research Abstract |
平成23年度は,安全と危険の間のグレイゾーンを陽に取り入れたモデルを基に,様々な事故や失敗を下記の3つの観点から分析,背景要因や警告表示とグレイゾーンとの関連を追究した.特にグレイゾーンの2つのパターン,事前予測が困難なタイプと閾値設定に何段階かが存在するタイプとを明確に分類し,それら2つのタイプ毎の事故解析の特徴をまとめ,シンポジウムにて発表(第41回信頼性・保全性シンポジウム特別賞受賞),産業界のエンジニアと意見交流をした。 (1)製品・システム設計の観点から 大衆製品に関しては,製品評価技術基盤機構(NITE)のDBを利用し,特に新規開拓製品に注目して事故分析を試みた.それらは,事前予測困難な領域でのトラブル発生であり,そのメカニズムにより複数のパターンに分類できることがわかった。ざらに実際に新規製品でトラブルを経験した人へのWebアンケートを実施し,各パターンでのトラブル原因の違い,さらには望ましい取扱説明書・警告表示の記述方法に差があるごとを明らかにした。これらの結果は年度末のシンポジウムにて発表済みである。 研究分担者の伊藤は,過信と抑止に関して自動車の運転支援システムでの人間行動を解析し,過信のモデルを海外雑誌にて発表した。 (2)システム管理・作業マネジメントの観点から 想定外事象への対応に焦点を絞り,プラント事故での対応状況を調査した。東日本大震災による原子力発電所事故を対象に,組織内規則やドキュメント上の問題,チェックリストのあり方に特に注目したものである。連携研究者の稲葉は,モチベーションの観点から規則に反する行動の要因や対応を明らかにし,国際会議・国内会議で発表した。 (3)リスク・コミュニケーションの観点から 原子力発電所の事故に絡む情報発信や報道記事を収集し,政府や運営側が発する情報の安全基準と危険基準の使い分けを分析し始めたところであり,現在,解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リスク・コミュニケーションに関する分析と,医療分野におけるマネジメント上の問題解析が予定より遅れている。前者は,情報収集に時間がかかったためであり,後者は,研究代表者田中と横浜市立大学橋本教授との日程調整に手間取り,長時間をかけての現地調査が実現できなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
リスク・コミュニケーションの分析に関しては,情報が収集できたので,平成24年度にそれらの分析を進める予定である。医療分野での分析については,学生の協力を得て,現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(12 results)