Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里深 好文 立命館大学, 理工学部, 教授 (20215875)
野阪 克義 立命館大学, 理工学部, 准教授 (50373105)
北原 武嗣 関東学院大学, 工学部, 教授 (00331992)
大窪 健之 立命館大学, 理工学部, 教授 (10252470)
山田 あすか 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (80434710)
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Research Abstract |
従来の災害弱者対策は行政からのアプローチが主体であり,既に対策マニュアル整備も多くの自治体で進められている.ところが,災害弱者は情報獲得においても弱者であることが多く,これまでの情報提供型防災には効果の限界がある.自然災害発生数が年々増加し,発生状況が複雑化している現在,子ども,高齢者,障碍者,要介護・援護者,外国人,さらには帰宅困難者や観光客など,災害弱者の様相も複雑化している.本研究では,防災情報が例え届かなくても災害弱者の命を守れるような防災シェルターや,また特別な防災知識がなくても安全な避難を可能にするサインについて検討する.災害弱者の命を守るための減災構造やデザインも含めた避難システムについて,ハードウェア・ソフトウェアの両面から新しい提案を行おうとするものである.災害弱者のための(1)減災技術開発,(2)避難誘導計画の策定,(3)防災ユニバーサルデザイン,の3つのプロジェクトを立ち上げ,災害時のみではなく日常的にも利用できるシステムの開発を目的とする. 今年度は,災害弱者として観光客と身体障碍者に対象をしぼって検討を進めた.(1)の減災技術開発に関しては,流木とともに流下する洪水から観光客や老人を守るために,適切な避難場所の検討や,構造物による防止法を提案した.防災フェンスの強度検討も行った.(2)の避難誘導計画に関しては,京都市の観光地において観光客の滞留状況の推定を行うとともに,マルチエージェントシミュレーションシステムによる検討をした.(3)の防災ユニバーサルデザインに関しては,地域で暮らす身体障碍者本人への災害時避難に関する意識と生活環境評価についての調査結果の分析を進めた.その結果,自宅からの避難では,仕事・買い物での外出がほとんどなく自宅にこもりがちになってしまっている回答者において,避難場所を決めていない割合が高いこと等が明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)の減災技術開発に関しては,具体的な防災設備の試設計を行う.(2)の避難誘導計画に関しては,避難者エージェントに与えるパラメータに幅を持たせるなど,より詳細なモデルを構築する.(3)の防災ユニバーサルデザインに関しては,東日本大震災を受けて災害時避難への意識や準備にどのような変化が起こったのかを調べる追跡調査を企画・進行中である.最終年にあたり,研究成果全体の統合について,これまで以上に研究者の連携を密にすることが必要だと考えている.
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