2010 Fiscal Year Annual Research Report
外来種がすみにくく在来種がすみやすい琵琶湖岸修復のための実験的研究
Project/Area Number |
22310147
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Research Institution | Lake Biwa Environmental Research Institute |
Principal Investigator |
西野 麻知子 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 部門長 (60237716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 和海 近畿大学, 農学部, 教授 (10330242)
大野 朋子 大阪府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (10420746)
井上 栄壮 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 研究員 (00585268)
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Keywords | 外来種 / 在来種 / 生物多様性保全 / 環境修復 / 野外実験 / 希少種 / 生態系再生 |
Research Abstract |
本研究は、開発による地形変化とその後の水位操作が水辺の断面形状を変えたことが、外来種がすみやすく、在来種がすみにくい環境構造を作り出したとの仮説に基づき、水辺の地形修復実験を行い、その効果を検証することを目的としている。 平成22年度は、航空写真を用いて地表高を取得して水際線を抽出し、その地表高分布を琵琶湖水位と関連させて地図化した。現地調査で、ヨシの群落形状から団塊ヨシと散生ヨシを区分し、ヨシの水際最前線を調べたところ、散生ヨシの平均水深はB.S.L.-45cmと浅い一方、団塊ヨシでは-104cmと深く、しかも幹根元の地表高が-11.4cmと水中で崖状断面を形成していた。そのため、団塊ヨシ群落は夏季には湛水せず、団塊ヨシは仔稚魚のハビタットとして機能していないことがわかった。仔稚魚の分布調査からも、このことが実証された。 団塊ヨシの根株の異なる深さから土壌ブロックを切り出し、ヨシ茎の再生実験を行ったところ、根株断面からの茎発生密度は、水深が深い部位ほど密度が小さくなり、50~60cmの部位からは茎の発生が無かった。また部位0~20cmの根株でも冠水状態では0.1本/100cm^2程度であった。実験結果から、団塊ヨシを切り下げる場合、水深60cmまでがヨシ再生の一つの目安となることがわかった。 ヨシ帯および仔稚魚の分布調査をもとに、団塊ヨシが密生し、外来魚仔稚魚が多く生息する地点を選定し、ヨシ茎の再生実験結果をもとに野外実験のための工事計画を策定し、地権者の了解のもと、関係法令に基づき、在来魚の繁殖環境改善のための水際の土地の切り下げ工事、および希少植物の生育実験のための工事を実施した。
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Research Products
(6 results)