2011 Fiscal Year Annual Research Report
外来種がすみにくく在来種がすみやすい琵琶湖岸修復のための実験的研究
Project/Area Number |
22310147
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Research Institution | Lake Biwa Environmental Research Institute |
Principal Investigator |
西野 麻知子 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 部門長 (60237716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 朋子 大阪府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (10420746)
細谷 和海 近畿大学, 農学部, 教授 (10330242)
井上 栄壮 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 研究員 (00585268)
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Keywords | 外来種 / 在来種 / 生物多様性保全 / 環境修復 / 野外実験 / 希少種 / 生態系再生 |
Research Abstract |
本研究は、開発による地形変化とその後の水位操作が水辺の断面形状を変えたことが、外来種がすみやすく、在来種がすみにくい環境構造を作り出したとの仮説に基づき、魚類およびヨシをはじめとする水辺の植物群落を対象に水辺の地形修復実験を行い、その効果を検証することを目的としている。 平成23年度は、前年度に実施した地形修復工事後の生物群集変化についての検証調査を行った。魚類の繁殖環境修復実験地では、コントロールとして設定した西の湖本湖の複数地点と比べて、多くの在来コイ科の産着卵や仔稚魚が採集された。ただ、その期間は水位が比較的高かった5月までで、人為的に水位が低下させられる6月以降は、外来種のブルーギル仔稚魚が卓越した。また工事の影響か、在来魚の産卵基質となるヨシの生育が遅れたため、在来魚の繁殖環境としての評価は、翌年度以降に再度行う必要があると考えられた。 また、水際から離れたところで実施した水辺植物の地形切り下げ実験地で、ヨシ群落の再生を水位(びわ湖基準水位B.S.L)との関係で調査したところ、BSL+11cmより高いところではヨシ群落が再生したが、それ以下にまで切り下げたところでは、ヨシは再生しなかった。ヨシが再生しなかった地表高は、ヨシの発芽期である4-6月に常時冠水状態にあった地表高に相当する。 これらのことから、水辺の在来動植物相の復元には、地形修復とともに水位操作のあり方が重要な役割を果たすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度に野外実験のための予備調査及び野外実験のための環境修復工事を行い、23年度は工事の検証調査を行ったところ、ほぼ予想通りの効果が検証されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の調査では、ヨシの生育の遅れの影響が十分評価できなかったため、本年度は新たに人口産卵基質を設置して、人口産卵基質の有無による在来・外来魚の繁殖環境改善実験の効果を検証する。また野外実験においては、気候変動などたよる環境変化が大きいため、複数年にわたる評価が必要で、本年度も前年度と同様の調査を行うことで、地形修復実験の効果を検証する必要がある。
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Research Products
(11 results)