2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22310150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
代田 智明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60154382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷垣 真理子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50227211)
伊藤 徳也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (10213068)
石井 剛 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (40409529)
岩月 純一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (80313162)
田嶋 俊雄 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (10171696)
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Keywords | 中国 / 戦後日本 / 中国研究 / 中国認識 / 日中関係 / 日本社会 / 聞き取り調査 |
Research Abstract |
本プロジェクトは、第二次世界大戦後の日本でどのように中国が認識されたのかを、中国研究の動態を通じて考察する。中国認識を検討することは、日本社会が内包する問題点を検討することにもつながる。中国研究という「鏡」によって、自己を再照射することは、閉塞感のある日本の状況に対して、新たな可能性を示唆することにもなる。 本年度は改革・開放政策の開始時より、現在までの中国研究の動態と中国認識の変化に焦点をあてた。戦後のそれ以前の時期と比較すると日中が直接的な交流をはじめたことが大きな特徴である。さらに、1990年代に入ると、中国が高度経済成長を遂げ、「遅れた中国を日本が助ける」という構図が成立しなくなった。「失われた10年」を経てもなお、自己の進路を逡巡する日本と「富強」の中国は好対照を成す。「日中友好」では語られなくなった現実を前にして、日本の中国認識は明らかに変化した。こうした動きは中国研究の動態からも確認できた。 1年目と同様に、台湾の石之喩による「世界における中国研究の知識社会学的研究」プロジェクトでとりあげられなかった研究者への聞き取り調査を引き続き行った。本年度はフランスからクリスティーン・ラマール氏、香港から林少陽氏を招聘した。両者への聞き取り調査により、日本の中国研究の特徴がうかびあがり、比較研究の可能性が示唆された。比較研究会は昨年度同様、年3回行い、相互に意見交換した。なお、研究協力者として伊藤博(東京大学院)と中津俊樹(現代中国学会員)が研究活動に参加した。 台湾の石プロジェクトは、2011年6月に『インタビュー戦後日本の中国研究』を平凡社から上梓したが、研究協力者である村田雄二郎は編者のひとりとして成果をとりまとめた。研究代表である代田は2011年9月に浙江省紹興で行われた「魯迅生誕130周年シンポジウム」で、日本の魯迅研究に関わる報告を行い、本プロジェクトの成果の一部を中国で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会活動を予定どおり実施し、各班の研究活動も進展を見せた。クリスティーン・ラマールと林少陽両氏への聞き取り調査により、日本の中国研究の特徴がうかびあがり、比較研究の可能性が示唆された。これは次年度の国際ワークショップ開催の明るい展望となった。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね申請時の計画どおりに今後の研究を推進する。次年度に予定されている国際ワークショップについては、なるべく早めに台湾側と連絡をとり、事前に準備をすすめる。
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Research Products
(18 results)