2010 Fiscal Year Annual Research Report
‘認識'と‘構築'の自然の風景像-21世紀の風景論
Project/Area Number |
22320031
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
仲間 裕子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70268150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 由紀子 京都外国語大学, 教養教育, 教授 (10281495)
六人部 昭典 実践女子大学, 文学部, 教授 (30239470)
加藤 磨珠枝 立教大学, 文学部, 准教授 (40422521)
前田 茂 京都精華大学, 人文学部, 准教授 (80368042)
要 真理子 愛知産業大学, 造形学研究科, 准教授 (40420426)
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Keywords | 美術史 / 美学 / 21世紀の風景論 / 自然とアルテファクト / 自然環境論 / 公共芸術 / グローバル化した自然問題 / グローバルな議論の必要性 |
Research Abstract |
アジア藝術学会紀要The Journal of Asian Arts and Aesthetics, Vol.4において、仲間裕子が「自然と風景」の特集を企画し、編集を行った。この特集の寄稿者は、ハンス・ディッケル氏(エルランゲン=ニュルンベルク大学)、ゲイル・レーヴィン氏(ニューヨーク市立大学)、ラファエレ・ミラーニ氏(ボローニャ大学)、クリスティーナ・ウィルコツェウスカ氏(ヤギェウォ大学)、ジャレ・エルツェン氏(中東工科大学)、劉成紀氏(北京師範大学)、および中川真氏(大阪府立大学)で、エコ美学、サウンドアート論、環境問題に関わるアメリカの20世紀美術史、ドイツの公共芸術のイデオロギーの問題など、多様なジャンルや視点から自然・風景論を考察する機会を得た。主要論点となったのは、第一に風景は、政治や経済を含む社会構造と密接に関わり、第二に慣れ親しんだ自然が異質の自然へと変容し、今やむしろアルテファクト(人造物)が自然であるという矛盾が非矛盾として存在すること、第三に自然・風景論は文化や風土のアイデンティティによって差異があるものと捉えられるが、今日ではそもそも人間は己がどこに存在するかを示す指標や'オリエンテーション'を失い、風景のアイデンティティが明白ではないということ、である。したがって当問題にはいっそうのグローバルな議論が求められ、講演会や研究会を開催し、エルツェン氏に「メタモルフォシス(変容)-グローバル化とイスラムの都市」について、また、京都国立近代美術館との共同企画として、ヴォルフガンク・ケルステン氏、ベティーナ・ゴッケル氏(チューリヒ大学)に「クレーと自然」についての報告をお願いした。科研分担者による研究会においては、六人部昭典氏と米村典子氏から、フランス印象派美術の「筆触」、「パレルゴン」などの観点を通してこの時代の自然観についての報告があった。
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Research Products
(12 results)