2012 Fiscal Year Annual Research Report
‘認識’と‘構築’の自然の風景像─21世紀の風景論
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22320031
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
仲間 裕子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70268150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 由紀子 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (10281495)
六人部 昭典 実践女子大学, 文学部, 教授 (30239470)
米村 典子 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (30243976)
要 真理子 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 准教授 (40420426)
加藤 磨珠枝 立教大学, 文学部, 准教授 (40422521)
前田 茂 京都精華大学, 人文学部, 准教授 (80368042)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 今日の風景論 / 自然の風景 / 都市の風景 / グローバル化した自然問題 / 風景に関する文化的差異の認識 |
Research Abstract |
国際美術史学会第33回大会(ニュルンベルク)においてセクションチーフを任された「マルチプル・アートワーク」の基調講演(ハンス・ディッケル、アレクサンダー・フリードリヒ大学教授との共同報告)において、ドイツ・ロマン主義のカスパー・ダーヴィト・フリードリヒの風景画(《冬の風景》)における主題の反復性を指摘し、自身の風景画研究を反映させた。 また、北京師範大学の招聘講演においては、“Aesthetics of Landscapes in Japanese Modern Art”, “Romantic Landscapes and the Sublime”のテーマで報告し、崇高論を根拠とする西洋の風景と、日本の自然との距離をもたない風景を比較しつつ論じ、当大学の哲学社会学研究科の刘成紀教授と若手研究者を中心に議論を交わすことができた。後者の講演については中国語でも翻訳が現在進められている。ボローニャ大学では“Modernity and Sensibility in Japanese Art of Landscape”の題目のもと「日本の風景画の感性」について講演を行い、当哲学部教授のラファエレ・ミラーニ氏との研究交流を行った。この講演はボローニャ大学高等研究院都市研究所のオンラインジャーナルに掲載されている。なお、この研究交流は、2013年7月にクラクフで開催される国際美学会での「美学と風景」のセクションに反映されることとなった。ミラーニ氏と共同でセクションチーフを務め、イタリアとハンガリーの研究者とともにパネルディスカッションを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今世紀の風景論をテーマとして、海外の研究者と議論を行い、共同研究を図る目的は、国際シンポジウム(2011年10月)、国際フォーラム(2012年2月)の開催によって達せられた。その成果は、主催した立命館大学国際言語文化研究所の紀要(2013年3月発行、6月発行予定)で研究分担者の岡部由紀子氏(京都外国語大学)、米村典子氏(九州大学)、加藤磨珠枝氏(立教大学)、要真理子氏(大阪大学)の翻訳によるバイリンガル(日英)で出版し、国際的な発信を目指した。個人的にも、研究代表者(仲間裕子)は、北京師範大学とボローニャ大学で本研究テーマで講演し、講演がそれぞれの大学の紀要で発表された。 また、立命館大学でボローニャ大学高等院都市研究所の研究者が参加した「今日のヨーロッパの風景」の講演を開催するなど、さまざまな風景(画)研究の交流を行い、都市の風景論を深めることができた。要真理子氏は日英共同の「自然学|SHIZENGAKU」プロジェクト関連のシンポジウムで、「自然に対する美意識の表象化をめぐって」を滋賀県立近代美術館およびロンドン大学で講演を行い、六人部昭典氏(実践女子大学)は印象派の風景研究を進め、19世紀の印象主義が提起した「断片」としての自然表現の意義と、今日の美術における風景や自然表現との関わりという視点から共同研究のテーマを発展させている。
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Strategy for Future Research Activity |
国際交流を基盤とする4年間の研究の総括として、2011年度に開催された国際シンポ、国際フォーラムの報告原稿、および科研分担者の執筆論稿を、日英のバイリンガルで出版(三元社、2014年2月)する予定である。この著書では、仲間裕子(本科研代表)、ハンス・ディッケル(フリードリヒ・アレクサンダー大学)が編集を担当し、その他執筆者は、ゲイル・レヴィン(ニューヨーク市立大学)、クリスティーナ・ヴィルコシェフスカ(ヤギエウォ大学)、ラファエレ・ミラーニ(ボローニャ大学)、刘成紀(北京師範大学)、ジャレ・エルツェン(中東工科大学)、アダ・ラエフ(バンベルク大学)、示番 潘(佛光大学)、岡部由紀子(京都外国語大学)、米村典子(九州大学)、六人部昭典(実践女子大学)、加藤磨珠枝(立教大学)、要真理子(大阪大学)、前田茂(京都精華大学)の各氏15名である。今日の歴史的状況下重要性が増す一方の自然の認識へと導く芸術作品を、それぞれの専門領域や文化的背景から多角的に考察する。10月には、国際フォーラム「風景のアヴァンギャルド、風景のポストモダン」を開催し、ポール・エドワーズ(バース大学)、ジョス・ドゥ・ムル(エラスムス大学)を招聘し、風景表象の新しい時代を切り開いた作品や芸術運動と伝統や物語性を重視したポストモダンの動向を再考し、来るべき自然観を討議する。 7月には、ポーランドのクラクフで開催される第19回国際美学会の「自然と美学」のセッショにパネリストとして報告の予定で、前近代から今日に至る風景表象の日本的感性を、ヨーロッパの風景描写と比較しつつ文化的・思想的観点から分析する。なお、こうした学会発表や論文執筆のため比較的長期の調査をミュンヘン、中央美術史研究所行う予定である。
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Research Products
(6 results)