2011 Fiscal Year Annual Research Report
法則性を持つ絵画技法の解明-昭和前期北川民次作品の自然科学的調査を通して-
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22320040
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Research Institution | Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
白河 宗利 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (70336668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
歌田 真介 愛知県立芸術大学, 美術学部, その他 (30272644)
森田 恒之 愛知県立芸術大学, 美術学部, その他 (10133612)
木島 隆康 東京芸術大学, その他の研究科, 教授 (10345340)
森田 義之 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (70143641)
増田 直人 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (20315873)
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Keywords | 絵画 / 技法・材料 / 保存修復 / 北川民次 / テンペラ画 / メキシコ滞在期 |
Research Abstract |
【研究の目的】 本研究の主たる目的は、1930~1940年代の北川民次の作品を自然科学的手法を応用して調査研究し、技法材料、保存修復、美術史の観点から学際的に解明することにある。とりわけ、これまで日本国内ではほとんど研究の対象とされてこなかったテンペラ画等で使用するエマルジョン(分散液)を媒材として用いた技法で描かれた北川民次の作品を研究対象とする。本研究では、近年次第に再認識されるようになった法則性をもつ絵画技法の先駆例として、北川民次のメキシコ滞在期の作品の技法と材料を、自然科学的調査を通して解明し、再現研究を行う。あわせて、その歴史的背景を明らかにする。 【研究実績の概要】(平成23年4月1日~平成24年3月31日) 本研究は、絵画材料・技法研究を担当するグループ、保存科学・修復研究を担当するグループ、美術史研究を担当するグループが相互連携をはかりながら学際的に研究を行っている。今年度は、研究対象とする北川民次のメキシコ滞在期の作品を中心に、全図および部分の高精度撮影と側光写真、紫外光、赤外光等による特殊撮影写真記録を作成した。それと並行して、可能な場合には、作品よりごく微量の試料片を採取し、断層調査および成分分析を行い(破壊分析)、不可能な場合は、非接触の方法(携帯型蛍光X線装置)により、使用された絵画材料の成分分析のみを行った(非破壊分析)。 これらの調査にもとづき、共同研究会を開催し、データの解析を行いながら、調査対象作品の再現研究に必要な技術に関する仮説作成を行った。これらの調査分析と並んで、北川民次のメキシコ滞在期の活動に関する記録・資料を収集・整理し、北川民次がこの時期に行った絵画制作について調査した。あわせて、これまでの調査分析からのデータを基に再現研究に着手した。上記の研究実績(調査作品より2作品について)は愛知県立芸術大学紀要No,41に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗は当初予定のとおり概ね進んでいるが、震災の影響で調査対象作品を所蔵している美術館が開館をしていなかった都合で補助金の繰り越しを申請して、24年度に23年度行う予定としていた対象作品の調査・研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
再現研究の段階において非接触の方法(携帯型蛍光X線装置)での絵画材料の分析では成分を完全に判別できなかったために、再度の研究グループによる成分の解読予測と実験が必要であった。現段階では、200種以上の媒材の調合を変えた地塗り層の試験的な実験が行われており、実作品との目視による比較やマイクロスコープによる観察、携帯型蛍光X線装置による成分比較を行っている。この地塗り層の再現研究が概ね完了したら順次、絵具層の媒材実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)