2010 Fiscal Year Annual Research Report
生表象の動態構造-自伝、オートフィクション、ライフ・ヒストリー
Project/Area Number |
22320064
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
森本 淳生 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 准教授 (90283671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑瀬 章二郎 立教大学, 文学部, 准教授 (10340465)
中野 知律 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (50237343)
安田 敏朗 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 准教授 (80283670)
千葉 文夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00163741)
久保 昭博 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (60432324)
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Keywords | 自伝 / モデニティ / メディア / 表象 / 痕跡 / エクリチュール / フィクショ / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
研究の初年度にあたる平成22年度は、それぞれ3本の報告からなる研究シンポジウムを開催し、議論を行った。9月には、「初代市川團十郎の「願文」をめぐって」(廣瀬)、「自叙伝・自画像・自讃歌-本居宜長の場合」(田中)、「「生表象」参与の前提-作文・日記・書簡」(安田)という三つの報告によって、日本の近世から近代にかけての自己表出の変遷を跡づける作業を行った。ただ、前二者の対象はそれぞれ役者と学者であり、近世の識字教育の浸透を通して、自己と文字表現との関係に一般にどのような変化が生じたのかは分からない。これについては、明治期以降の作文教青を扱った安田の議論も踏まえ、平成23年度以降の課題としたい。1月には、「エメ・セゼール『帰郷ノート』における人称の問題」(尾崎)、「レーモン・クノーの自伝的エクリチュール」(久保)、「ミシェル・レリス、あるいは自伝のパラドックス」(千葉)という三つの報告によって、マルチニック島のいわゆるポスト・コロニアル状況と自己表現の関係も含め、20世紀フランス語圏文学における自伝的エクリチュールの変遷について議諭した。研究代表者(森本)の個人的作業としては18世紀後半の自伝作家レチフ・ド・ラ・ブルトンヌの読解が進行中で、ルソー研究(桑瀬)とともに、自伝的テクストの発生期を、上記の20世紀の動向を見据えて再考する作業を今後行っていく準備が整った。
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Research Products
(4 results)