2012 Fiscal Year Annual Research Report
生表象の動態構造──自伝、オートフィクション、ライフ・ヒストリー
Project/Area Number |
22320064
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
森本 淳生 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (90283671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑瀬 章二郎 立教大学, 文学部, 教授 (10340465)
片岡 大右 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (30600225)
辻川 慶子 白百合女子大学, 文学部, 講師 (80538348)
千葉 文夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00163741)
中野 知律 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (50237343)
久保 昭博 関西学院大学, 文学部, 准教授 (60432324)
大浦 康介 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (60185197)
尾方 一郎 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (80242080)
田中 康二 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (90269647)
廣瀬 千紗子 同志社女子大学, 文化表象学部, 教授 (50167615)
飯田 祐子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (80278803)
安田 敏朗 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (80283670)
菊地 暁 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80314277)
坂井 洋史 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (80196047)
立木 康介 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70314250)
森 千香子 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (10410755)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自伝 / フィクション / 表象 / モダニティ / 国際研究者交流(フランス) / エクリチュール / メディア / 痕跡 |
Research Abstract |
本共同研究の第三年度である平成24年度も、各メンバーが分担分野についてそれぞれ研究をすすめるとともに、全体で討議する機会として、また、海外の研究者を招聘して意見交換を行う場として、次の3つのシンポジウムを開催した。平成24年7月21日に「生と性、自伝、あるいは、フィクション」と題して行ったシンポジウムでは、大浦康介(講演タイトル:「『わが秘密の生涯』を読む」)とパリ第3大学から招聘したジル・フィリップ教授(「ジャン=ポール・サルトル 生とフィクション」)が報告し、生と性、自伝とフィクションが密接に関連する様態を明らかにすることができた。11月24日に「経験、エクリチュール、学知――生表象の動的プロセス」と題して行ったシンポジウムでは、久保昭博(「証言は「文学」を変えたか?──フランスの第一次世界大戦戦争文学について」)、森千香子 (「郊外で「書く」──在仏移民による「自己の語り」をめぐる一考察」)、菊地暁(「ライフヒストリー・レポートの無謀と野望──柳田民俗学を「追体験」する」)が報告し、戦争経験や移民/マイノリティの体験といった書くことの困難な「生」が書かれるプロセスにはいかなる力学が作用しているかを議論するとともに、生表象を可能にする学知(社会学、民俗学)のあり方についても再考することができた。平成25年1月12日に「エクリチュールと「自己」――テクストはいかにして生成するのか?」と題して行ったシンポジウムでは、立木康介(「オートフィクションとしての理論──フロイトのケース」)とパリ第8大学から招聘したジャン=ニコラ・イルーズ教授(「ロマン主義の百足」──ジェラール・ド・ネルヴァルの『オーレリア』)が報告し、自己の生を見つめ、それを語ることは、広義の「他者」(友人、先行する文学モデル)との関係においてはじめて可能になることを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、近代社会における「生表象」の具体的様態と、それが可能になる制度的前提(メディア、教育、学知)を、おもにフランスと日本を調査領域として、明らかにすることを目的としている。平成24年度は、生が表象されるにあたりフィクションを少なからず内包すること(大浦、フィリップ、立木、イルーズの各報告)、また、生表象を成立させるメディアや学知のあり方(久保、森、菊地の各報告)について主に考察を深めることができた。また、日仏の対照研究については、すでに平成22-23年度に一定の考察を行ってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成25年度は、10月12日に尾方一郎(20世紀ドイツにおける芸術家小説)と九州大より招聘予定の山口輝臣(近代日本における日記)を報告者とする研究会を行い、そのうえで、2月初頭には各研究分担者が成果を発表する総括シンポジウムを開催する予定である。平成25年度は、この総括シンポジウムの報告原稿をもとに、成果報告書を出版する準備も進めていく。
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Research Products
(12 results)