2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22320072
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
佐治 俊彦 和光大学, 表現学部, 教授 (70100435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 恒雄 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (20173792)
岩佐 昌〓 熊本学園大学, 外国語学科, 教授 (60136546)
代田 智明 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (60154382)
坂井 洋史 一橋大学, 言語文化研究科, 教授 (80196047)
金野 純 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 講師 (80553982)
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Keywords | 文化大革命 / 知識人 / 中国文学 / 文革文学 / 中国現代史 / ポスト文革期 / 香港中文大学 / 林彪 |
Research Abstract |
全体で4回の研究会を主催したほか、香港中文大学における資料調査を行った。7月10日、姫田光義氏(研究協力者)による講演「文化大革命と林彪」(第1回)。同講演は、姫田氏の近著『林彪春秋』(中央大学出版部)を下敷きにして、文化大革命における林彪の役割と「林彪事件」の真相を明らかにすべく、当該テーマに関する同氏の30年にわたる研究を総括したものである。10月27日、来日中であった王尭氏(蘇州大学文学院院長)による講演「"矛盾重重"的過渡状態-"文革文学"与"新時期文学"関連性研究」(第2回)。我々が中国知識人として念頭におく最大の対象は文学者であるが、文革期には知識人全般が不当に貶められ、旧来の文学者は活躍の場を奪われた。そうした環境下で生まれた「文革文学」をどう位置づけるかという大きなテーマについて、王氏の講演は一つの回答を示すものであった。12月4日、ドキュメンタリー映画『亡命』の上映会、および監督の翰光氏による講演会(第3回)。同映画は、天安門事件後に中国国外へ逃れた知識人の足取りを追い、彼らのインタビューを中心に構成されており、中国知識人の在り様を通して、文革研究に応用可能な多くの示唆を含む。編集段階でカットされた内容について、監督本人から貴重な情報を頂戴することができた。2月17日、香港調査の事前打ち合わせ(第4回)。3月26日から30日にかけて香港を訪問し、香港中文大学所蔵の膨大な資料を閲覧、収集するとともに、同大学に在籍する研究者と座談会を開催、特に同大政治学講座教授・王紹光氏からは文革研究に関する貴重な提言と指摘をいただいた。全体の研究活動と並行して、坂井洋史(分担者)は上海大学教授の蔡翔氏を招き、国際シンポジウムを開催した。蔡氏の講演「80年代的起源及其時代特徴」は、文革終結直後の文化状況について、その意味を問い直そうとするものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災により、研究分担者と協力者の一部が被災したため、6月中旬まで全体の活動方針を具体化し、実行することが制限された。ただし、個々人はおおむね当初の計画通り研究を遂行しており、「思想的研究」、「文学的研究」、「社会・歴史的研究」の3グループともに、責任者を中心にr文革とは何だったか」に関する思索を深め、成果を公表できる段階に近づいている。
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Strategy for Future Research Activity |
「文革とは何だったか」に関する調査・検討を進めながら、中国知識人に関する問題(文革において知識人が担った役割、担うべきであった役割、文革期に知識人がおかれた状況、現在の中国知識人の文革をめぐる意識)について、一歩踏み込んだ議論を行う。その際には「思想」「文学」「歴史・社会」3グループごとの討論を経て、各グループの問題意識を全体で共有する機会を数多く設ける必要がある。また、我々の内部で共有された認識を国内外の研究者と摺り合わせた上で、これまでの研究成果を一般に向けて公開するため、中規模の国際シンポジウムを開催し、広く来聴者を募る。
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Research Products
(25 results)