2012 Fiscal Year Annual Research Report
漢字字体変容の原理―敦煌文献から現代日本戸籍漢字まで―
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22320087
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
高田 智和 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・構造研究系, 准教授 (90415612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 晴通 北海道大学, 文学部, 名誉教授 (10002289)
小野 芳彦 北海道大学, 文学研究科, 教授 (20126022)
豊島 正之 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10180192)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 漢字字体 / 字体規範 / 字体編年 / 漢字字体規範データベース / 敦煌文献 / 日本語活字 |
Research Abstract |
本研究は、(1)既存の漢字データベース群の連携と、資料整備が手薄な時代・地域について漢字字体資料の増補によって、歴史的変遷・共時的異化の二面からなる資料体を作成し、(2)この資料体に基づいて、漢字字体の基礎理論・基本用語を明確化・国際化した上で、字体編年規準を透明化し、(3)漢字字体の規範とその変容の原理について、客観的かつ国際的に通用し得る記述を与えることを目的とする。 平成24年度は以下の研究活動を行った。(1)「漢字字体規範データベース」に収録されている(今後の収録を検討しているものも含む)京都国立博物館蔵の日本古写本(金剛頂経巻第三、法蔵和尚伝など)、大英図書館蔵のスタイン・コレクション(S2577妙法蓮華経巻第八、S4553大通方広経など)について、字体編年確認のための原本調査を行った。(2)それぞれの原本調査にあたっては、書誌学、文献学、日本語学、材料工学の専門家を交え、原本を前にして、字体編年に関わる要素の抽出と類型化のための基礎的な検討を行った。また、(3)以上の知見を国内外の学会で公表するとともに、The 5th International Conference on Computer Assisted Systems For Teaching & Learning Japaneseにおいて企画パネル「漢字とICTの活用」を企画・実施し、第97回情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会において企画セッション「文字情報のデータベース化と連携の可能性」を企画協力・実施した。(4)『漢字字体史研究』(石塚晴通編、勉誠出版)を編集・刊行し、中国語論文集と、漢字字体基礎理論の英語ハンドブックの編集準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度までに、「漢字字体規範データベース」は、敦煌写本、奈良・平安写本、契丹版、日本の古活字資料等の公開準備を進め、資料体の構築は順調に進んでいる。また、The 5th International Conference on Computer Assisted Systems For Teaching & Learning Japaneseの企画パネル「漢字とICTの活用」、第97回情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会の企画セッション「文字情報のデータベース化と連携の可能性」を通して、日本語学・文字学だけでなく、関連する諸領域の研究者・専門家とともに、漢字字体に関する基礎概念・理論的枠組みに関する議論を深めている。
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Strategy for Future Research Activity |
「漢字字体規範データベース」の増補を行い、資料体の整備を継続する。また、原本調査を行った典籍については、字体編年の記述に必要な書誌情報を追加していく。研究期間の最終年度である25年度は、字体基礎理論の国際化について、24年度に策定した基本概念・基本用語の原案を検証し、精緻化を図る。
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Research Products
(13 results)