2012 Fiscal Year Annual Research Report
前近代東アジアの外交と異文化接触-日明関係を軸とした比較史的考察-
Project/Area Number |
22320118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村井 章介 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (30092349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 貴司 慶應義塾大学, 付置研究所, 教授 (20229230)
伊藤 幸司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (30364128)
橋本 雄 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (50416559)
須田 牧子 東京大学, 史料編さん所, 助教 (60431798)
岡本 弘道 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (70469237)
小島 毅 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90195719)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 日本史 / 東洋史 / 文化交流史 / 史料研究 / 現地調査 / 日明関係 / 遣明使 / 遣明船 |
Research Abstract |
第一に、本研究がもっとも重点をおいている『策彦和尚初渡集』下巻の翻刻・講読作業は、22・23年度に引き続き年に2回、集中的に東京に集まって講読を行ない、本年度までに嘉靖20年(1541)8月23日条までを読み切った。これは全体の4分の3程度にあたり、残る一年で確実に読み切る目途がついた。会で作成した凡例に沿って文字や読みを確定し、テキストデータを揃えることも、着実に積み重ねられており、大変順調に進捗していると言える。 第二に、当初予定していた、外交比較研究に関する全体的会合は、主として金額的制約から行なうことができなかったが、比較外交儀礼の観点から、検討をすすめ、メーリング・リスト(Email)などを通じて議論を深めている。その成果は本年度、各種著作物として刊行された(研究成果欄参照)。 第三に、本年度の現地調査は、日本遣明使の北京上京ルートのうち、山東省から河北省そして北京までの最終行程の諸都市を重点的に行なった。北京・天津を除く地域は、参加者のほとんどが未踏の地域であり、史料を読んでいても地理がつかめず、読解に支障をきたしていたエリアである。2012年7月31日から8月8日にかけて行なった調査では、徳州~滄州~天津間に点在する鎮レベルの町を順番に巡り、各地に辛うじて残っている古運河や、駅館の痕跡の記憶を確認し、また北京市・天津市の関連史跡をまわって、読解上意味不明だった部分を相当程度補うことができた。なお9月以降、日中関係は急激に悪化したが、本調査はそれ以前に行なうことができ、相応の成果を挙げることができたのは幸運であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外交比較研究についてはやや遅れがみられるが、基本史料である入明記の翻刻などは順調に進展しており、また現地調査もおおむね予定通りに進められ、成果を上げつつある。また、本研究課題の成果として、『遣明船入門』(仮題)という編著の刊行計画も平行して進行中であり、研究成果の社会への還元も果たせる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究(翻刻・講読作業;フィールドワーク;研究報告会など)を実施していきたい。また、メーリング・リスト(Email)等での連絡を密にし、ネット上の会議も催しつつ、本研究課題の終了後には、『遣明船入門』という成果還元物が刊行できるように、編集作成作業を平行して進めていきたい。 なお、本研究課題の内容・陣容に比して潤沢とはいえない財源をもとに共同研究を進めることは、非常に困難をともなうが、時勢上致し方ない面もあり、「もちだし」も含めて研究遂行に努力していく所存である。フィールドワークについては、日中・日朝間の情勢変化にはくれぐれも注意し、安全には留意するよう努める。
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