2011 Fiscal Year Annual Research Report
認識方法としての歴史と規範としての歴史に関する国際的総合研究
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22320121
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 正幸 山梨大学, その他部局等, 名誉教授 (90126649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 一秀 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60238029)
石塚 迅 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (00434233)
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Keywords | 歴史叙述 / 歴史認識 / 規範と認識 / 紀年法 / 歴史的時間 / 時代区分 / 規範歴史学 / 認識歴史学 |
Research Abstract |
東アジアの歴史には規範的要素が強く、西洋の歴史には認識的要素が強いが、本来的に歴史は、洋の東西を問わず、認識的な要素と規範的な要素を内包している。このふたつの要素を分析的に検討することで、歴史の持つ文化的・歴史的・社会的役割を解明するのが本研究の目的である。 (1)平成23年度は、東アジアの歴史叙述には規範的要素が強く、西洋の歴史叙述には認識的要素が強いが、本来的に歴史叙述は認識的な要素と規範的な要素を内包していることを解明した。①世界の文化にはその核心として、それぞれに異なる「不動なる文化の軸」を持つ。アブラハムの宗教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教)を持つ文化においては、神の声を記録した聖なる書物がその基軸となり、一方東アジア諸国においては、国家の編纂による歴史書が「不動なる文化の軸」を構成してきた。②東アジアにおいては『オデッセイ』のような叙事詩が存在せず、歴史のドラマ化が起こらなかった。その一方で事実を忠実に記録した「正史」が連綿と書き継がれて来ている。これは歴史を「不動なる文化の軸」と位置づけたために、歴史の書き換えという発想が誕生せず、歴史は規範形成のためのものであると考えたからである。 (2)上記の研究の成果を以下の国際学会で発表した。① “East Asian Civilization and Historiography,” The International Conference on Asian Civilizations. (中国社会科学院、北京)5月28日。② “Grounding East Asian Civilization,” The International Conference on Contemporary World and East Asian Civilizations. (アサン研究所、ソウル)6月1日。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたように、国内外の研究資料へのアクセスがスムーズに行えたこと、及び海外での研究発表において研究遂行に当たり有意義な質疑応答がおこなわれたため、順調な研究の進展がみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策に関しては、当初の予定通り行う予定である。
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Research Products
(3 results)