2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本住血吸虫病の抑制に関する歴史的経験の整理と国際保健への提言
Project/Area Number |
22320122
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
飯島 渉 青山学院大学, 文学部, 教授 (70221744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正一郎 京都大学, 地域研究統合情報センター, 教授 (50218616)
門司 和彦 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (80166321)
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学研究所, 教授 (80266353)
五島 敏芳 京都大学, 総合博物館, 講師 (90332139)
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Keywords | グローバル化 / 感染症 / 日本住血吸虫 / 国際保健 / 医療情報学 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き中国を中心に日本住血吸虫病を中心とする感染症対策に関する一次資料の収集と整理を進めた。中国江南地域については、上海交通大学の協力のもと県・市レベルの一次資料を収集し、整理した。雲南でも一次資料を収集し、関連文献の調査およびデータベース化、収集したデータのGISによる整理も進めた。それらの作業には、雲南大学および台湾の中央研究院台湾史研究所顧雅文氏の協力を仰いだ。 一方、研究遂行上の問題点も明らかになった。日本住血吸虫病対策に関する歴史資料の整理およびデータベース化の過程で問題となったのは、以下のような点である。中国の資料言語は中国語であるが、文字については繁体字から簡体字への移行期の資料を対象としているため文字種が実質的に複数あること、手書きの資料については退色やかすれが多くみられ、癖字などが多く見られることなどである。こうした問題は予想以上に深刻であり、デジタル化(データ化)時の読解と入力の作業を困難にしている。ただし、その克服のための手法の検討もまた本研究の重要なテーマであり、今後も検討を試みる予定である。研究全体としては、着実に計画を進めている。雲南の感染症対策を含む医療保健制度に関する分析も進めることができた。そして2012年2月には協力体制にある上海交通大学および中央研究院、彰化師範大学の研究者や大学院生とのワークショップを開催し、2012年3月には感染症関連の重要な資料を収蔵している琉球大学医学部および沖縄県公文書館で調査を行った。この沖縄での調査は、日本住血吸虫病関係を中心としており、次年度以降の研究の発展に大きく寄与するものである。 なお、本研究の研究総括と次年度以降の計画に関する会議を2012年2月10日に開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国の江南および雲南における資料収集作業は計画通りに実施されている。データベース化に関しては若干の問題点も見出されたが、それも想定していた問題であり、その克服に取り組むこと自体が本研究の一部でもあるため、研究自体が遅れているわけではない。また当初の予定以上に日本国内の資料の調査を進めることができた。本年度の活動によって今後の研究内容の深化が期待できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、中国、ラオス、日本での資料調査の継続とともに、収集資料の整理、デジタル化、データベース化を進めていく。また2011年度に確認されたデジタル化に関しての問題点の検討を行い、その解決に努力したい。以上の検討を踏まえて、医療情報の整理、分析やGISによる研究成果の「可視化」を行い、歴史資料の疫学的な意味の検討とその国際保健や日本住血吸虫病対策への提言を引き続き模索したい。
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