2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22320131
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
成田 龍一 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (60189214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 稔 東京外国語大学, その他部局等, 教授 (10201948)
吉見 俊哉 東京大学, その他の研究科, 教授 (40201040)
丸川 哲史 明治大学, 政治経済学部, 教授 (50337903)
坪井 秀人 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (90197757)
鳥羽 耕史 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90346586)
戸邉 秀明 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (90366998)
渡辺 直紀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80409367)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本史 / 近現代史 / 戦後史 / 文化史 / 思想史 |
Research Abstract |
冷戦文化研究会を定期的に開催し、各自の成果を共有することをおこなった(7月29日。11月17日。3月20日)。映像を用いての韓国における冷戦文化、小笠原諸島などの島嶼からみた冷戦文化、沖縄の劇団『創造』など冷戦期沖縄の文化などについての報告と議論を行った。 沖縄から比屋根照夫(琉球大学名誉教授)を招き、沖縄近現代史を報告してもらった。前年度に引き続き、「沖縄戦」「アメリカ占領統治」「復帰前後」と、三回の報告を受けた。冷戦文化を理解するため、要となる沖縄の歴史を通時的に学ぶ試みだが、大きな成果を挙げている。 本研究の成果を国際的に発信し、また(後述する)国際会議開催の準備のために研究代表者・成田龍一と研究分担者の坪井秀人、鳥羽耕史、渡辺直紀が、11月27日~12月2日にかけてアメリカに出かけた。11月30日には、コロンビア大学での「アフター・ポストコロニアル」と題する会議に参加、討論に加わった。アメリカの日本研究者のみならず、アジア史研究者、アフリカ史研究者とも議論を行った。またコロンビア大学で、12月の「戦後日本というアムネジア」のための打ち合わせをおこなった。あわせて、現代美術館(MOMA)で開催中の1950年代の日本美術展に赴き、その関係者と接触した。 12月22日・23日には、早稲田大学を会場として、国際シンポジウム「戦後日本というアムネジア」を開催した。基調報告として、和田春樹(東京大学名誉教授)、加藤哲郎(一橋大学名誉教授)が、戦後東アジアの冷戦体制、原子力政策を軸とする戦後日米関係について論じた。両日を通じて三セッションがもたれ、韓国、アメリカ、カナダ、ドイツの研究者が参加し、報告と討論がなされた。また24日には、国立近代美術館の見学会を催した。 資料収集も着実に進み、本研究の重要な対象である、映画のDVDを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
定期的な冷戦文化研究会に加え、沖縄近現代史講義が加わり、厚みを増した。報告内容も、1950年代の日本(本土)をはじめ、沖縄、朝鮮半島、台湾へと空間的な視野も広げられている。その成果は、国際会議において、これまで3年間の蓄積を成果として還元した。2012年12月に開催した国際会議「戦後日本というアムネジア」では、沖縄の冷戦文化にかかわるセッションを設けた。また、基調報告を依頼するときにも東アジアという視野、日米関係という主題を軸に、広がりをもたらすものとなった。 討論が充実したのも、本科研に基づく研究活動に拠っていると理解している。2日目の最後に行われた総括セッションで、冷戦文化研究会の意義があらためて確認された。 そのほか、各自が出版活動をおこない、随時、成果を公表している。戦後思想史を冷戦文化の観点から考察することもそのひとつで、歴史学、文学史の領域で成果を着実に公表している。 文献史料とあわせ、本研究では重要な核となる大衆文化にかかわる資料も、DVDをはじめ順調に収集され前進している。東アジアの射程での考察が、着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
冷戦文化研究会を軸とする活動を続ける。また、ここでの成果をもとに、国際会議での報告も、あわせて軸とする。これまでネットワークを形成してきたアメリカ、カナダ、ドイツ、さらに韓国の研究者のほか、中国の研究者とも接触を開始している。冷戦文化のなかで中国の文化活動の検討は欠かせず、中国の研究者と冷戦文化を考察する方向を追求する。 また、本研究全体として研究活動を活発につづけその成果を還元することを図る。研究代表者、および研究分担者がそれぞれの領域において出版事業にかかわっている。そこでの活動を、本研究に還流することを図りたい。 あわせて研究代表者および研究分担者が、成果を公表することも推進する。本研究も、かなりの研究蓄積ができてきたので、成果公表にも積極的に取り組んでいきたい。また、資料収集も着実に進んでいるが、いっそうの充実を期したい。
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Research Products
(19 results)