2010 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮半島の「水環境」をめぐる社会・経済・文化の歴史的諸相―漢江を中心として
Project/Area Number |
22320138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
六反田 豊 東京大学, 大学院・人文社会研究科, 准教授 (40220818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森平 雅彦 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 准教授 (50345245)
長森 美信 天理大学, 国際学部, 准教授 (50412135)
石川 亮太 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (00363416)
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Keywords | 朝鮮史 / 水環境 / 漢江 / 水運 / 津渡 / 淡水魚食 |
Research Abstract |
本研究の目的は、朝鮮半島の「水環境」をめぐる社会・経済・文化の様相について、高麗初期から朝鮮末期まで(10世紀初~20世紀初)におけるその時期ごとの歴史的特質と変容の過程を明らかにするために、各種資料収集と現地踏査、およびそれらを踏まえた基礎的な分析・考察をおこなうことにある。上記の目的を達成すべく、初年度にあたる2010年度は、以下のような研究活動をおこなった。 (1)主たる研究対象である漢江流域の現地踏査を2回実施した。主要な踏査地はソウル南部から京畿道の広州・驥州を経て江原道の原州、忠清北道の忠州におよぶ。流域に点在する水運拠点や津渡等の史跡を確認し、周辺住民からの聴き取り調査を実施した。現在、漢江では大規模な河川改修工事が進められており、早晩、伝統的な景観は姿を消すと想定されるが、その直前に流域各地を踏査できたことは大きな成果であった。 (2)滋賀県立琵琶湖博物館との間で共同ワークショップを開催した。朝鮮における「水環境」の問題を考えるうえで他地域との比較は重要な視点の一つである。琵琶湖博物館の学芸員諸氏と相互の研究成果を報告しあい、議論の場を持つことができたことは、その点で意義深い。のみならず、すでに多くの蓄積がある琵琶湖の「水環境」研究から、方法や問題意識の面でも多くの示唆を得ることができた。 (3)その他、『朝鮮王朝実録』をはじめとする基本史料からの関連情報蒐集とともに、朝鮮時代の漢江での船旅を記録した『入峡記』の分析を進めた。また、現地踏査に際して各地の文化院等を訪ね、漢江の「水環境」をめぐる研究文献等も可能な限り蒐集に努めた。 これらの研究活動によって、本研究のもっとも基盤となる各種データの収集を順調に進めることができ、また、たんに朝鮮にとどまることなく、広く人類史の課題としての広がりのなかに研究を位置づけることができた点を強調しておきたい。
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Research Products
(6 results)