2011 Fiscal Year Annual Research Report
18-19世紀北・東北アジアにおける交易路と交易システムの研究
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22320143
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加藤 直人 日本大学, 文理学部, 教授 (90130468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松重 充浩 日本大学, 文理学部, 教授 (00275380)
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Keywords | シベリア / サハリン / サンタン交易 / 間宮林蔵 / ハバロフスク / アムール川 / ウルムチ / カシュガル |
Research Abstract |
平成23年度の主な研究成果としては、後掲の研究発表の他に、以下の二点をあげることができる、 一つは、交易ルートの踏査よる成果である。研究代表者・同分担者と同連携研究者(華立、楠木賢道、杉山清彦、柳澤明)は、18-19世紀における東北アジアにおける交易路中の「ハバロフスク-コムソモリスクナム-ニコラエフスク-ブイル-オハ-ユジノサハリンスク」のルートを踏査し、(1)アムール川下流域の民族が、南から北に向かってナナイ人、ウリチ人、ニブヒ人によって構成されていること、(2)これらの民族は言語学上の分類の枠組みを超えて漁労文化を共有し、民具・衣服の形態や紋様に類似点が多いこと、(3)アムール川河口一帯には元来ニブヒ族が住んでおり、1858年の愛琿条約以降ロシア人の入植が続き、混血も進んだこと、(4)ブイル村で携帯した皇輿全覧図、ダンビルの地図などを調べ、そのままの村名で記載されていたことを見出し少なくとも三百年前には村が存在していたことと、同地でサンタン交易の存在を示す蝦夷錦を確認したこと、(5)また間宮林蔵の記憶を頼りに村上貞助が描いた樺太からみたブイル村図が正確であること、(6)20世紀サハリンにおける先住民と移民朝鮮人の活動、などを確認し、その知見を深める成果を得ることができた。また、本研究課題の歴史的特徴考察に際しての比較軸としての西方ルートに関しても、ウルムチやカシュガルなどの満城を中心とした調査を連帯研究者(細谷良夫)により行った。 もう一つは、上述踏査と並行して、ロシア語、モンゴル語、満洲語、漢語など多言語にわたる関連文献資料を収集できたことである。これらの文献資料は、今後、上述した踏査成果を本研究課題における新たな歴史像再構成していく上で利用する予定のものでもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年度までの主要研究目的である現地調査と関連データの収集に関して、平成22年度の北ルートを、昨年度は東北ルートにおいて、それぞれ踏査と現地関連文献資料の収集を実施できていることから、当初の目的をおおむね順調に達成してきていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は次年度で最終年度を迎えるが、その研究推進方策としては、以下の二つを計画している。 (1)従来踏査を実施してきた北・東北アジア地域における交易路と交易システムの当該期清朝交易ルート全体における歴史的特徴を明らかにする上で必要となる比較対象として、西南交易ルート(「成都-西寧」)の踏査を実施する。 (2)以上の踏査結果をふまえて、これまでの研究成果の全体的とりまとめを行い、北・東北アジア地域における交易路と交易システムの歴史的特徴の解明をはかる。
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Research Products
(4 results)