2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヴァロワ朝ブルゴーニュ国家の社会・経済・文化に関する統合的研究
Project/Area Number |
22320146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 美男 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (70183928)
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Keywords | ブルゴーニュ / 近代国家の形成 / フランドル / 西欧中世都市 / 文化と表象 / 徴収と分配 |
Research Abstract |
「近代国家の形成」という西欧学界の現代的課題へ貢献することを目途として、中世後期のブルゴーニュ国家-それは南北2つの大きな所領ブロックから成る-を素材に、社会・経済・文化諸領域の統合的な究明を図るのが本研究の目標である。初年度の2010年度には、連携研究者および研究協力者の協働により、学術論稿(著書・論文・書評等)は当然として、学会などでの発表も充実した形で実現することができた。 第1に主要論稿から列挙するならば、「近代国家形成史論」を構成する諸領域のうち、金尾論文「ヴァロワ家ブルゴーニュ公フィリップ・ル・ボンの財政」が【徴収と分配】、青谷論文「プロセッセョンと市民的信仰の世界」、同著書『記憶のなかのベルギー中世』および畑論文「15世紀初期におけるフランドル都市ブルッへの参審人団」が【都市・市民・国家】、河原論文が「ブルゴーニュ公国における地域統合と都市」が【領域・法・統治システム】と、3領域を包括する内容として発表された。これらには、「資料の徹底した収集と整理に力を注ぐ」とした、初年度目的の海外調査結果(金尾:フランス、畑:ベルギー)も含まれている。 第2に、学会等における成果発表であるが、藤井・花田・中堀・畑によるパネルディスカッションと藤井・中堀・畑のミニ・パネルディスカッションが、【徴収と分配】分野での実証研究をブルゴーニュ国家について深く掘り下げた。また、畑・中堀・青谷による講演会および河原、青谷の単独報告は、【文化とイデオロギー】の領域を睨みつつ、【国家と貴族】にも跨がる内容に踏み込んだものとなった。以上、主要な発表成果に絞ったが、全体として、本研究の今一つの特徴である、ブルゴーニュ国家の南北各ブロック分担研究により、均衡の取れた研究成果であることを最後に強調しておきたい。
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Research Products
(19 results)