2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヴァロワ朝ブルゴーニュ国家の社会・経済・文化に関する統合的研究
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22320146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 美男 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (70183928)
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Keywords | ブルゴーニュ / 近代国家の形成 / ネーデルラント / フランドル / 西欧中世都市 / 文化と表象 / 徴収と分配 |
Research Abstract |
「近代国家の形成」という西欧学界の現代的課題へ貢献することを目途として、中世後期のブルゴーニュ国家-それは南北2つの大きな所領ブロックから成る-を素材に、社会・経済・文化諸領域の統合的な究明を図るのが本研究の目標である。第2年目の2011(H23)年度には、連携研究者および研究協力者の協働により、学術論稿(著書・論文・書評等)の成果を以下の通り充実した形で実現することができた。 第1に主要論稿から列挙するならば、「ブルゴーニュ国家における財政システムの形成」と題した前年度のパネル報告の内容を、別個に藤井・花田・中堀・畑の各4論文によって発表する機会を得た。これらは、「近代国家形成史論」を構成する諸領域のうち【徴収と分配】の位置を占めている。他方、藤井論文「中世後期ブリュッセル市外市民とブラバント(ブルゴーニュ)公権-ヴァン=アウトフェン事件を事例として-」、花田論文「中世後期フランスにおける都市議事録研究の現状と課題-最近の研究から-」および2点の青谷論文「赦しのポリティクス-中世後期ネーデルラント都市の贖宥とブルゴーニュ公-」「顕現する天上都市、遍在する永遠の都-中世後期南ネーデルラントの宗教儀礼と都市の聖地化-」が【都市・市民・国家】領域へのアプローチとなっている。以上の研究成果には、「資料の徹底した収集と整理に力を注ぐ」とした、海外調査結果(藤井:ベルギー)も含まれている。 第2に、学会等における研究発表については、藤井・花田・河原・加来による計5件のそれが、前年度に引き続き特筆する業績となっている。 以上、主要な成果に絞って記したが、全体として、本研究の今1つの特徴であるブルゴーニュ国家の南北各ブロック分担研究により、均衡の取れた業績結果となっていることを最後に強調しておきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書において、本研究の特徴とした挙げた2つの測面-ブルゴーニュ国家の形成過程を4つのフィールドからアプローチすること、南北2ブロックに研究参加者を振り分けること-が研究遂行上円滑に機能し、それが、平成22年度における全国学会でのパネル報告および平成23年度におけるその論文化に端的に表れていることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終仕上げの年度に当たるため、これまでの国内外での資・史料収集に基づき、研究会を通じて各ブロック研究班の諸成果を報告・討議していく。この討議を通じて、各研究班の課題が総括される。4代にわたるヴァロワ朝ブルゴーニュ国家が示す様々な社会・経済・文化的現象が、「近代国家」形成過程の一部として、時間的、こも空間的にも全ヨーロッパ的なものへと連なり、その際生み出される種々の史的要素が明らかとなるであろう。この研究成果を年度末の「研究成果報告書」として提出する。なお、最終的には本研究を総括する論文集の刊行も視野に入れている。
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Research Products
(16 results)