2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22320154
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (90141986)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 恵 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 助教 (40302997)
兵頭 政幸 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 教授 (60183919)
竹下 欣宏 信州大学, 教育学部, 助教 (00578271)
|
Keywords | 先史人類学 / 人類進化 / 地質学 / 年代測定 / アジア考古学 / 国際研究者交流 / インドネシア |
Research Abstract |
本研究は、ジャワ原人に関する年代論争の終結に向けて、申請者らによる2000年からの地質年代学的調査の成果を踏まえ、異なる年代観が錯綜する現状を検証しつつ、確かな基盤を持った編年モデルの再構築を行うものである。本年度は以下の研究等を実施した。 1.ジャワ島の古人類遺跡、特にジャワ原人化石を多産するサンギラン地域、また、B9トリニール、サンブンマチャン、プルニンにおける各人類化石出土地点の地質層序の詳しい対比を行うため、火山灰等の鍵層の位置・層位に関する確認と整理を進め、データベースとなる柱状図を作成した。 2.サンギラン地域のカブー層(バパン層)について、テフラ分析による火山灰層の地点間対比の詳しい検討結果を踏まえ、当層における地磁気磁場変動を高精度に復元した結果、サンギラン地域においても、松山/ブリュンヌ地磁気極性トランジションが複数の小反転を伴うことが確認された。この結果は大阪湾の堆積物等における地磁気磁場変動記録との整合性が極めて高く、サンギラン地域の磁気層序の信頼度が高まった。この研究成果は、米国科学アカデミー紀要に論文として掲載され(DOI:10.1073/pnas.1113106108)、NHKニュース等でも配信された。 3.サンギラン地域の人類化石産出層における重要な鍵層として有名なグレンツバンク層の年代を明らかにするため、関連する堆積物試料について、鉱物分離等を行うとともに、フィッション・トラック法およびウラン-鉛法を用いた年代学的分析を実施した結果、上記の磁気層序と調和的な成果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジャワ原人に関する年代論争の終結には、人類化石産出地点の地質層序学的対比、および当地における高精度の地磁気層序の確立、また、従来のアルゴン-アルゴン年代測定値の問題点を検討しつつ、別法による信頼性の高い年代測定値を得ることが肝要である。それらについて、それぞれおおむね遅滞なく進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画の中心部分に関しては、上記のようにおおむね順調に進展しているが、ジャワ原人の編年モデルの再構築を行うためには、人類化石の化学分析による出土層準の検証適用例を増やし、またジャワ原人の産出層位の古環境学的分析などを進める必要がある。今後はこれらのことを考慮しながら、総合的に推進していく計画である。
|