2012 Fiscal Year Annual Research Report
飲酒運転対策の最適な制度設計をめざしてーその学際的研究
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22330027
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
今井 猛嘉 法政大学, 法務研究科, 教授 (50203295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲 真紀子 北海道大学, 文学研究科, 教授 (00172255)
木林 和彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20244113)
田中 利幸 法政大学, 法学部, 教授 (60114980)
松村 良之 明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員研究員 (80091502)
尾形 隆彰 千葉大学, 文学部, 教授 (80125913)
城下 裕二 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90226332)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 飲酒運転 / 危険運転致傷罪 / 道交法 |
Research Abstract |
平成24年度には、悲惨な交通事故が多発したことを受け、飲酒運転対策として有用な関連法規(刑法の危険運転致傷罪、間接的に関係する法規として、道交法の無免許運転罪等)の改正案が検討された。そこで、この法案の審議過程を、刑法、行政刑法、法と心理学、社会学等の観点から、多角的に検討を加えた。同法案においては、法定刑の引き上げも企図されていたことから、それが正当な刑事政策といえるかを、量刑理論の観点からも検討を加えた。結論として、同法案の趣旨は、いずれも正当なものと思われるとの結論に至った。 他方で、同法案は、罰則規定であることから、自ずから限界があることも明かになった。すなわち、飲酒運転で検挙される者には、再犯者が多く、刑罰を科すだけでは飲酒運転という悪弊が除去できない事例が多いことも、改めて確認された。そこで、法医学の観点から、アルコール依存症を除去するための対策が検討された。この観点からの検討に際しては、アメリカ合衆国において採用されている処遇プログラム(DWI CourtないしDUI Courtの試み)が注目され、その検討に取りかかった。DWI CourtないしDUI Courtが飲酒運転をして有罪とされた者に提供するプログラムは多様であり、いかなるプログラムが効果的な再犯予防に資するのかは、次年度においても継続して検討が加えられる予定である。 このように、平成24年度においては、関連法規の改正案を多角的に検討するとともに、よりよく飲酒運転を防止するための、新たな手法に関する検討も開始され、次年度における本研究のとりまとめに意義のある研究がなされたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飲酒運転をした者に適正な刑罰を加え、その再犯を予防するための多角的な分析を加えるのが、本研究の目的である。この目的実現のために、これまで、関連する日本の刑罰法規の解釈(判例、学説)と立法(関連法案)の動向を分析してきた。これに加えて、飲酒運転の再犯予防のために外国で採用されている(きわめて注目される)処分にも視野が及び、目下、その詳細な検討を続けているところである。 以上の進展状況は、本研究の趣旨に沿ったものであり、今年度における更なる深化が予測されるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
危険運転致傷罪、道交法の改正案は、近く国会で審議の後、立法化される見込みである。そこで、当該法規の立法趣旨を確認し、学説の反応をも踏まえつつ、市民が、この法改正をどのように受け止めているのかを、法と心理学、法社会学の観点から検討する。そして、当該調査結果を、理論刑法学の観点(正義論等も含む)の観点から規範的に分析する。 他方で、飲酒運転の再犯予防のために外国で採用されている(きわめて注目される)処分(DWI CourtないしDUI Courtの試み)を調査、分析し、日本への導入の可能性について検討を加える。
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Research Products
(2 results)