2012 Fiscal Year Annual Research Report
日中の相互国家イメージと「国家ブランディング」の可能性―中国と日本での実証研究
Project/Area Number |
22330051
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 健一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90193250)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国家ブランディング / 国家イメージ / ソフトパワー / 原産地効果 / ステレオタイプ |
Research Abstract |
本研究計画は、「国家ブランディング」(nation branding)によって、対日イメージがどのように改善し、その結果どのような効果が得られるのかを、主として中国と日本におけるフィールド調査やテキスト分析などの実証分析を通して検討することを目的としている。国家ブランディングは最近提唱された理論であるが、その政策効果についての先行研究は乏しい。日本の政策関係者からはアニメをソフトパワーに活用することが提唱されているが、申請者の過去の研究結果では必ずしも予期した効果をもたらすとは限らないことが示されている。本年度は、中国において調査を実施しようとしていたが、尖閣諸島問題などによる日中関係の悪化にともない、中国国内で政治的なテーマを含む社会調査の実施が不可能になり実現することができなかった。その代わりに、静岡県立大学の渡邊聡氏と小針進氏の協力を得て、韓国で調査を行った。さらに、台湾でもほぼ同一の調査を行った。この調査の目的は、社会心理学で提唱されているステレオタイプの二次元モデルとマーケティングにおける原産地効果およびブランド拡張理論を統合的に適用することにある。韓国調査の第一次報告書は既に公表済みであるが、分析結果は今後、報告書ないし学会等で報告する。そして、引き続いて今年度は中国での調査を実施する予定である。国家ブランディングの効果を多次元的に理解し、日本にとって優位な方向性を探ることができるものと考えられる。また、日本のポピュラー文化への接触がどのような国家イメージの改善と結びつくのかについても検討することにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国での調査は政治的な事情により行うことができなかったが、韓国、台湾で調査を実施することができ、さらにTwitterでの英語の発言の収集も行うことができた。最終年度に中国でも調査を行うことにより、おおむね所期の目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、政治情勢により中国での社会調査が不可能であったので、今年は調査の実施できる状況になるのを待って速やかに実施したい。米国や日本での調査も検討している。
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