2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330066
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
姫野 順一 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 研究員 (00117227)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深貝 保則 横浜国立大学, 国際社会科学府・研究院, 教授 (00165242)
新村 聡 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (00167561)
関 源太郎 九州大学, 経済学研究科(研究院), 名誉教授 (60117140)
江里口 拓 西南学院大学, 経済学部, 教授 (60284478)
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80292077)
黒木 亮 獨協大学, 経済学部, 准教授 (90364728)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 新自由主義 / 歴史的多様性 / 経済構想 / 社会哲学 / ネオ・リベラリズム / 社会主義 / 社会民主主義 / 社会改革 |
Research Abstract |
本科研は、新自由主義の歴史的多様性に焦点を当て、海外からの招聘協力研究者を交えて新自由主義の社会哲学と経済構想を比較解明するプロジェクトである。第3年度となる平成24年度は前年の震災の影響による遅れを取り戻すべく実施された。具体的な研究計画の内として、24年度は10月にブリテンの新自由主義に関する国際ワークショップを開催し、エクスター 大学のリチャード・トイにキーノートとして1918年以降の「労働党と議会関係の変化」の報告をうけ、メンバーの深貝は「自由に関する日本の歴史的なコンテキスト」を、関は「日本民主党のマニフェストの解析」を、姫野は河合栄治郎や長谷川如是閑、石橋湛山といった「日本における新自由主義の歴史」を報告した。 平成24年度の第2回目の国際ワークショップは、予定していたドイツ、オーストリアの新自由主義研究者他の招聘辞退が相次ぎ、代替的にイギリス理想主義研究を主導するカーディフ大学のデヴィッド・バウチャー、アンドリュー・ヴィンセントを招聘し、ブリテンの新自由主義を基軸に平成25年3月に実施された。日本側からは姫野が科研の基調を報告し、バウチャーは「コリンウッドとヨーロッパの自由主義」を、ヴィンセントは「新自由主義の性格」を報告し、日本側から関、江里口がコメントを加え、深貝は日本から応答して「日本における自由主義および新自由主義の歴史」の概略を示した。このように概ね研究目的に沿った研究実施計画が遂行できているが、今後遅れているドイツ・オーストリアの新自由主義研究について、次年度以降遅れを挽回する予定である。国際ワークショップにおける報告に見られるように、国内のメンバーは分担分野における日本語論文執筆の用意を進めており、これは実施計画の第5年目に予定通り予行集として刊行される見通しである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年の震災による海外招聘者の訪日延期という障害があったが、昨年度はその分を回復できた。とはいえ、昨年度は当初予定していた招聘者にに若干の入れ替えがあり、招聘予定であったドイツ、オーストリアにおける新自由主義の研究者の代わりに、イギリスの新自由主義研究者の招聘を先取りした形になった。科研の成果を海外の学会で報告するという当初の計画は、まだできていないが、研究分担者の個別研究は予定通りに進捗し、日本語による研究成果の出版打ち合わせが順調に進んでいる。本科研の重要な狙いである海外からの研究協力者の招聘は、メンバーは入れ替わっているものの、ほぼ順調に進み、従来の研究目的に沿った研究が進捗している。当初予定していたイギリス、アメリカ、ドイツ・オーストリアの新自由主義研究について、研究代表者のネットワークを踏まえて、イギリス圏における新自由主義の研究は進捗しているが、相対的にアメリカおよびドイツ・オーストリアにおける新自由主義研究が立ち遅れている。とはいえ、日本における新自由主義について研究分担者の複数の研究が進捗していることは、評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度の前半の国際ワークショップで報告してもらったエクスター大学のリチャード・トイのイギリス労働党の変容の報告、後半の国際ワークショップで招聘したカーディフ大学のイギリス理想主義研究センターのアンドリュー・ヴィンセントおよびデヴィッド・バウチャーのイギリス理想主義と新自由主義の対比の研究報告を、イギリスの新自由主義研究の総体からめてまとめる作業にとりかかる。あわせて、本年管理職業務の多忙のため来日がかなわなかったロンドン大学LSE政府部門のポール・ケリー、や予定が調整できずに招聘できなかったアメリカのハイエク研究の第一人者のカドウェル、家庭に都合で招聘できなかったイギリス労働党およびイギリス社会主義研究のオックスフォードのベンジャクソン、さらにイギリス社会主義、労働運動の研究者レオナード・ステアーなど、それぞれの事情で招聘できなかった招聘予定者を順次招聘し、各国における新自由主義者の共同研究を深めていく。その場合、予定の研究旅費として繰り越したドイツ、オーストリアの新自由主義研究者の再度の招聘を試みる。また、まだ海外の研究協力者との連携が不十分なアメリカの新自由主義については、若い研究者の追加招聘を含めて充実に努める。研究発表にみられるように、各研究協力者は本科研の分担者としての成果を充分にあげているが、4年度となる次年度は日本語による成果発表を出版として公表するために、日本側の研究会を充実させる。併せて日本の新自由主義についても重点的に分担研究を推し進め、「経済構想と社会哲学」の融合について、各地域の新自由主義の比較研究のさらなる充実を図る。
|
Research Products
(12 results)