2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330080
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浦田 秀次郎 早稲田大学, 大学院・アジア太平洋研究科, 教授 (10185085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清田 耕造 横浜国立大学, 経営学部, 准教授 (10306863)
松浦 寿幸 慶應義塾大学, 産業研究所, 専任講師 (20456304)
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Keywords | グローバリゼーション / 生産性 / ミクロ・データ / 多国籍企業 / 輸出の学習効果 |
Research Abstract |
平成23年度は、平成22年度から準備を進めてきた理論的枠組みと新たに構築した企業データベースを用いて、実証研究を進めてきた。研究は、企業の国際化の決定要因を探る国際化要因研究と、企業の国際化が生産性等のパフォーマンスにおよぼす影響の研究(成果計測研究)の二本立てで進めている。 国際化要因研究では、企業の海外進出行動の決定要因を分析していく。まず、日本企業の海外進出パターンの規定要因を明らかにするために、「企業活動基本調査」と「海外事叢活動基本調査」を用いて、海外進出と生産性に関する実証分析を行なった。この分野では、すでに多数の先行研究があるが、我々のプロジェクトでは、企業行動を規定する構造パラメーターの推計を試みている。また、日本企業の特徴を明らかにするために国際比較も試みている。まず、海外直接投資については、日本企業と米国企業の海外進出パターン(進出先別、業種先別の生産規模)を比較し、その特徴について分析を行なった。一方、輸出については、平成23年度から進めている日仏比較研究で分析を進めており、本年度は、日仏両国の産業別データから計算した代表的企業の生産性指標を計算した。これをベースに、日仏の輸出企業、および非輸出企業の生産性比較を実施し、ディスカッションペーパーとして取り纏めた。現時点では、輸出企業同士の生産性比較からは、日本企業のほうが生産性が高いことが示された。 一方、成果計測研究では、バブル崩壊以降の製造業の生産性上昇率の低迷と海外直接投資による空洞化についての実証分析を取り纏めた。具体的には、「工業統計」と「企業活動基本調査」を用いて、企業の海外進出が国内の事業所閉鎖につながっているか、また閉鎖事業所の生産性について分析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、いくつかの論文を完成させ、論文集に寄稿したり、海外ジャーナルへの投稿を始めるなど、少しずつ研究成果が揃い始めている。また、海外の研究者との打ち合わせも順調に進み、国際共同研究も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、3年目にあたるので実証分析の精緻化を図る。また、分析結果を取り纏めディスカッションペーパーなどの形で公表したり、学会等で報告することで論文の質を高めていくことに力を注ぐ。なお、平成23年度の研究を通じて、既存のグローバル化指標の問題点が明らかになった。今後の研究の深化のために、各産業のグローバル化の進展度合いに関する新指標の計測の必要性が高まった。そのため、平成24年度はアジア経済研究所伊藤研究員を研究分担者に追加し、日本、および世界各国の貿易額・国内生産額をデータベース化することでグローバル化の新指標(freeness of trade指標)の構築を推進し、これまで進めてきた実証研究の強化を図りたい。
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