2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22330157
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小林 直毅 法政大学, 社会学部, 教授 (10249675)
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Keywords | メディア研究 / 水俣 / 記憶 / アーカイブ研究 |
Research Abstract |
本年度は、次の研究を推進した。 (1)水俣病事件をめぐる新聞報道に加えて、ノンフィクション文学なども含めた広範なメディア言説の分析を進めた。同時に、ドキュメンタリー映画、報道写真などの分析、公害事件、環境問題をめぐる政策文化の分析を行った。 (2)テレビドキュメンタリーの収集を進め、それらの分析、インデキシングを行った。 (3)上記(1)(2)の結果を定例の研究会で報告し、研究成果と課題の検討を行った(研究会2回)。 (4)8月期に佐世保市、長崎市に在住の水俣病患者と家族、および被爆者を対象に、「認定制度」についての比較検討を目的としたインタビュー調査を実施した。 (5)3月期に熊本学園大学水俣学現地研究センター、熊本放送において資料収集も行った。 (6)これまでの研究成果に基づいたドキュメンタリー番組のインデキシングを進め、テレビドキュメンタリーのアーカイブを暫定的に構築し、同時にアーカイブの課題の検討を重ねた。 これらの研究から、1970年代の「水俣」をめぐるメディア言説とメディア表象の特徴が明らかになりつつある。 テレビドキュメンタリーの収集とアーカイブの構築作業をつうじて、同じ時期のテレビドキュメンタリーにおいて、テレビ映像としての「水俣」を記憶の参照系が形成されていることが見出された。また、そうした参照系を形成するドキュメンタリー番組のシーンが、他のドキュメンタリー番組に引用されることで、テレビドキュメンタリーの映像が、水俣病事件の歴史的時間を表象する時間イメージを生成していることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テレビドキュメンタリーのアーカイブは暫定的な構築が完了し、平成24年度には試行的公開の一環として、これを利用した公開研究会の実施が可能な状態になった。また、こうした研究成果が、平成23年度中にNHKアーカイブス、放送ライブラリーなどとの共同のシンポジウム、公開研究会で発表され、さらに学術論文として公表された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究遂行上の、とくに大きな問題点はない。 平成24年度は、研究成果のとりまとめを進め、学術論文、共著書としての公表する準備を進める。 また、暫定的構築が完了した「水俣」のテレビドキュメンタリーを利用した公開研究会を実施し、ドキュメンタリー制作者、ジャーナリストなどからの助言を仰ぎながら、テレビドキュメンタリーのアーカイブ研究の実践的展開を図る。
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Research Products
(2 results)