2012 Fiscal Year Annual Research Report
国際都市の文化戦略―横浜市の「創造都市」政策に関する実証的研究
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22330159
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
松本 康 立教大学, 社会学部, 教授 (80173920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江上 渉 立教大学, 社会学部, 教授 (50213533)
西山 志保 立教大学, 社会学部, 教授 (50402087)
水上 徹男 立教大学, 社会学部, 教授 (70239226)
高木 恒一 立教大学, 社会学部, 教授 (90295931)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 創造都市 / 都市再生 / 都市政策 / 文化 / NPO / まちづくり / 脱工業化 / グローバル化 |
Research Abstract |
本研究では、2004年より「文化芸術都市創造事業(クリエイティブシティ・ヨコハマ)」に着手し、都心部の再活性化を図っている横浜市を対象として、その現状と課題、政策意図と効果を調査して、日本における自治体政策の展開過程における歴史的位置づけと、東アジアの国際都市との比較というふたつの観点から、創造都市政策の意義について検証することを目的としている。本年度は、本研究の第2フェーズとして、横浜市の創造都市政策の戦略的意義について検証するとともに、東アジア諸都市に関する共同研究会を韓国のソウル市立大学にて開催した。 横浜市の創造都市政策について、狭義の創造都市政策と広義の創造都市政策に分けて、調査研究を進めた。狭義の創造都市政策としては、平成23年4月横浜市の局再編によって設置された文化観光局所管の事業とし、創造界隈形成、ヨコハマ・トリエンナーレ2011における市民協働、黄金町エリアマネジメントセンターなどに関して、行政職員、アート・まちづくりNPO関係者にインタビュー調査を実施した。また政策それじたいの変遷について文書資料によって裏付ける作業も行った。広義の創造都市政策としては、磯子区における文化政策について杉田劇場に焦点を当てた聞き取り調査を実施した。結果として、旧都心部においては「創造界隈」形成がNPO主導で進んでいるが、産業振興と「全市展開」の両面において課題を残していることが明らかとなった。 また、同済大学、復旦大学、ソウル市立大学と共催で、ソウル市立大学において「都市再生過程における都市文化」と題するシンポジウムを開催し、とくにソウル市内の衰退しつつある工業地区における創造拠点の形成や歴史的街区の保存事例について理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核をなす「クリエイティブシティ・ヨコハマ」事業の都心部における展開について、ほぼ事実関係の調査が終わっており、年次進行で新たな展開をフォローするとともに、横浜市の創造都市政策の特質、到達点と課題等について考察を進めている。また、横浜の創造都市政策の弱点のひとつである「全市展開」については、本研究でいう広義の創造都市政策の枠のなかで、市民向け文化事業の調査研究を進めている。東アジア諸都市との研究交流による比較についても、研究計画通りソウル市立大学にて国際会議を共同開催した。刊行が遅れていた前年度の成果発表も含め、研究成果の一部を研究所紀要『グローバル都市研究』で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、本研究の最終フェーズとして、研究のとりまとめを行い、報告書を作成する。とりまとめに当たっては、飛鳥田市政における六大事業、都市デザイン行政、その後の市政における文化政策の発展と行政職員の力量の蓄積を背景に、2000年前後の社会経済情勢の変化のなかで、中田市政において「創造都市」政策が採用される過程、そしてその後の経過と林市政における変化について検討する。また、東アジア諸都市の動向を踏まえ、「国際都市の文化戦略」の有効性と課題を考察する。最後の点に関して、日中韓の共同研究会を東京で開催して、東アジア諸都市からの知見と視点から学ぶこととする。
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Research Products
(7 results)